オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの商法総則16(2021年版:商法の法源、適用順位)>ラジオ収録20210507テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年)東洋大学教授 楠元純一郎(商法)東洋大学講師 根岸謙(民法)哲学者 松尾欣治東洋大学4年生 夏玮怡編集 レオー<不文法としての慣習> 慣習→ある社会において一般に守られるべきだと考えられている繰り返し行われる行為の規範→事実たる慣習 慣習法→事実たる慣習に法的確信を伴う(法的拘束力があるものと意識され、広く認知されている)場合 ⇨慣習法の存在とその内容は、訴訟当事者において立証責任があるのではなく、裁判官が自ら探知し、適用する。<判例>大判大5・1・21民録22・25 ◆法例第二条に所謂慣習は法則たる効力を有する慣習即ち慣習法を指称し、民法第九二条に所謂慣習は単純な慣行の事実で法律行為の当事者の意思を補充するものである。民法第六一七条の賃貸借終了時期に関する規定は専ら当事者の利益保護の為に設けたものであるから、之と異る慣習ある場合当事者が該慣習に依る意思を以て法律行為をしたときはその意思に従う。 商法1条2項→「商事に関し、商法に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる。」 ※平成17年商法改正で、「商慣習法」から「商慣習」に改められた。 →法の適用に関する通則法(通則法)3条の「慣習」も、判例上は「慣習法」と解釈されているので、それとの平仄を合わせるためではないか。 →商法1条2項の「商慣習」と通則法3条の「慣習」は統一して解釈すべき →だとすれば、商法1条2項の「商慣習」は、引き続き「商慣習法」と解釈すべき →慣習法は慣習(事実たる慣習)に法的確信が伴ったもの。 →慣習(事実たる慣習)は、任意規定と異なる慣習で当事者がそれに従う意思があれば当事者を拘束(民92条) →慣習(事実たる慣習)も法源となりうる。 →商慣習法には事実たる商慣習は含まれない。 →商慣習が法的確信を伴わない事実たる商慣習を含むのであれば、商慣習が民法の強行規定にも優先するには無理がある。 商法1条2項→ 商慣習法(法文上は商慣習)>民法(強行規定・任意規定)) 通則法3条→「公の秩序または善良な風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたものまたは法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。」 「法の適用に関する通則法」(通則法)→慣習の法的効力に関する一般規定通則法3条の「慣習」→法的確信を伴わない事実たる慣習を含まない→「慣習法」⇨判例 通則法3条→制定法優先主義→ 法令(制定法)>慣習(法)(法令を補充する効力→法令がない場合に適用) ※商法1条2項と通則法3条の関係は?は?→商法1条2項は通則法3条の例外 商法1条2項 → 商慣習(法)>法令(民法) 通則法3条 → 法令(民法)>慣習(法)(商慣習(法)・民事慣習(法) ※制定法優先 民法92条→「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習(法的確信を伴わない事実たる慣習(大判大5・1・21民録22・25))による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」 法令(民法の強行規定)>当事者が慣習(事実たる慣習)に従う意思がある場合の慣習>法令(民法の任意規定=公の秩序に関しない規定) 通則法3条と民法92条を組み合わせると? 通則法3条 → 法令(民法を含む)>慣習法(商慣習法・民事慣習法) 民法92条 → 当事者がそれに従う意思のある事実たる慣習>法令(民法の任意規定) 法令(民法の強行規定)>当事者がそれに従う意思のある事実たる慣習>法令(民法の任意規定)>法的確信を伴う民事慣習法 ※法的確信を伴う慣習法が法的確信を伴わない事実たる慣習に劣後→ ?→ 私的自治が認められる契約などの法律行為の解釈において、事実たる慣習が任意規定に優先することは不合理ではないとする意見。 商法1条2項の「商慣習」→「事実たる商慣習」を含まない「商慣習法」→法的確信を伴い、広く認知されているもの では、法的確信を伴わない事実たる商慣習はどこに位置付けられるのか?商慣習(法)(商1条2項)>民法の強行規定>当事者がそれに従う意思がある事実たる商慣習(民92条、商法は民法の特別法)>当事者がそれに従う意思のある事実たる民事慣習(民92条と民法は商法の一般法)>民法の任意規定>法的確信を伴う民事慣習法商法の法源の適用順位条約(自動執行条約)>商事自治法(会社の定款など、法的な根拠があるもので、強行法規に反しないもの)>商事特別法(国内法化された条約を含む)>商法典>法的確信を伴う商慣習法>民事特別法>民法典(民法の強行規定)>当事者がそれに従う意思のある事実たる商慣習>当事者がそれに従う意思のある事実たる民事慣習>民法の任意規定>法的確信を伴う民事慣習法
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの商法総則15(2021年版:民事の世界と商事の世界はどのように違うのか?)>ラジオ収録20210420テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年)東洋大学教授 楠元純一郎(商法)東洋大学講師 根岸謙(民法)哲学者 松尾欣治国際関係学者 福留邦浩編集 レオー東洋大学の大学院生、学部生のみなさん1ヨーロッパ大陸法系(私法)の基盤としてのローマ法 2日本民法の4大原則とフランス革命3民事の世界4商事の世界 →営利性、簡易・迅速性・定型・画一性、大量性、集団性、反復・継続性、公示主義、強化された外観主義、強化された契約自由主義、責任加重主義
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの商法総則17(営業能力)>ラジオ収録20210629テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年)東洋大学教授 楠元純一郎(商法)東洋大学講師 根岸謙(民法)哲学者 松尾欣治編集 レオー営業→法律行為(契約)→行為能力が必要→単独で法律行為をして、完全な法律効果を発生させること。①行為能力とは何か? →自然人の行為能力とは単独で法律行為をして完全な法律効果(権利義務の発生・変更・消滅)をもたらすことのできる能力といってよいか?法人の行為能力とは機関がその権限の範囲内で行った行為の効果を法人に帰属させる能力といってよいか?法律行為→意思表示で権利義務の発生・変更・消滅をもたらす行為 →契約(双方行為)、単独行為(遺言・取消し、代理の追認)、合同行為(社団の設立、会社設立?)→営業能力営業能力→営業権利能力、営業行為能力意思能力→自然人特有のもの 意思無能力→無効第二節 意思能力民第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。→立証が困難②意思能力がないということで無効となったケースはあるのか? その場合、困難な立証をどのようにしているのか?立証の容易化→制限行為能力制度取消しは、取り消さなければ有効、つまり、表意者等に無効にするか選択させる制度。制限行為能力者による営業<1> 未成年者→20歳未満→未熟なため判断能力が必ずしも十分ではないことから保護する必要あり (例えば、未成年者が騙されて高額な買い物をさせられる!) →法定代理人(親権者・未成年後見人)の同意が必要 →法定代理人は読んで字のごとく代理人であることから、代理人であるが、同意権もある! →同意なし→取消し 取消し→取り消されて初めて無効となる→取り消されなければ有効→いつ取り消されるかわからない→取引の安全上、支障あり。 同意は不要、同意がなくても取り消されない場合 →未成年者が単に権利を得(お年玉をもらう=贈与契約=法律行為→贈与を受ける) 義務を免れるような法律行為 →未成年者を害さないから法定代理人が目的を定めて処分を許した財産=お小遣いのこと?(未成年者の法律行為)民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。③ここで法定代理人とはなんなのか?→ここで法定代理人が親権者・未成年後見人であるという根拠条文はどこにあるか?④法定代理人の同意のない未成年者の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか?取消権者→未成年者、法定代理人(親権者・未成年後見人)(取消権者)民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。未成年後見人とは 民法第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。⑤未成年後見人(後見人)はなぜ代理人なのか?財産に関する法律行為について被後見人を代表するからなのか? (財産の管理及び代表)民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。<未成年者が営業をする場合> 未成年者の営業許可制度(未成年者の営業の許可)民法第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。→法定代理人の同意は不要、同意がなくても取り消されない。2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。(未成年者登記)商法第五条 未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。 →未成年者登記簿(どのような営業について許可をしたか)(未成年者登記の登記事項等)商業登記法第三十五条 商法第五条の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所二 営業の種類三 営業所2 第二十九条の規定は、未成年者の登記に準用する。以上が、未成年者自身が営業をする場合 営業(法律行為)のたびに、法定代理人の同意を得る方法→煩雑 営業許可を得て、登記をした上で、営業をする方法では、未成年者が誰かに代わって営業をしてもらうことはできるか?<未成年者に代わって代理人が営業をする場合>法定代理人は未成年者を代理して営業ができるか? 法定代理人(親権者・未成年後見人)には代理権があるため、代理営業ができる。 →親権者が未成年者に代理して営業をする場合、登記は不要。 未成年後見人が代理営業をする場合、登記が必要→商登40条 (後見人登記の登記事項等)→親権者については登記は関係なし。第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別二 被後見人の氏名及び住所三 営業の種類四 営業所五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。 未成年者の法定代理人(親権者・未成年後見人)には同意権も代理権もある!<2> 成年被後見人→精神障害によって事理弁識能力を欠く常況(判断能力が常にない)にあって、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた者 →詐欺被害等からの保護の必要(後見開始の審判)民法第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。(成年被後見人及び成年後見人)民法第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。(成年被後見人の法律行為)民法第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。→成年被後見人の保護 ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。 →人権問題 日用品の購入その他の日常生活に関する行為以外はすべて取消し 営業行為は日常生活に関する行為ではない! 成年被後見人の営業行為→すべて取消し→成年被後見人は営業がまったくできない! →成年後見人に代理営業をやらせるほかない。 成年被後見人が勝手に行った営業→取り消される⑥成年被後見人の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか? 取消権者→成年被後見人、成年後見人(代理人)(取消権者)民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。⑦成年後見人はなぜ代理人なのか?(財産の管理及び代表)民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。(後見人登記)商法第六条 後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。2 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。→包括代理権(後見人登記の登記事項等)商業登記法第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別二 被後見人の氏名及び住所三 営業の種類四 営業所五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。<3> 被保佐人→精神障害により事理弁識能力が著しく不十分であり、家庭裁判所により保佐開始の審判を受けた者 いかなる法律行為が制限されるのか?→民13条1項各号の行為→重要な財産行為 制限されるとは?→保佐人の同意なければ、取り消される 民13条1項各号の行為(重要な財産行為=営業行為もそれに含まれる)を被保佐人がするときは、保佐人の同意が必要。 →保佐人の同意がなければ取消し 問題は、保佐人には→同意権はあるが代理権はない →保佐人が代理営業をすることはできない。 保佐人に代理営業をしてもらうこともできない。 →被保佐人は、保佐人が同意してくれなければ、自ら営業行為をすることができず、 さらに、保佐人に代理営業をさせることはできない! →被保佐人は未成年者や成年被後見人や被補助人に比べて、代理営業をさせることができないという意味で、最も不利な立場に置かれているのではないか! そこで、解釈 →営業行為をする被保佐人(商人)の代理人として支配人を選任 その支配人の選任につき、保佐人の同意を得る。 その支配人に代理営業をさせることは解釈上、可能か?。⑧支配人の選任について保佐人の同意を得れば、被保佐人は支配人に代理営業をさせることができるとする学説について、支配人の選任は民法13条1項各号のどれに該当するのか?民法第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。(被保佐人及び保佐人)民法第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。(保佐人の同意を要する行為等)民法第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。一 元本を領収し、又は利用すること。(銀行預金の引き出し、元本すなわち利息・賃料などを生ずる財産の返還を受け、または元本として貸与すること)二 借財又は保証をすること。(借金(手形の振出・裏書も含む)、保証人になること)三 不動産その他重要な財産(動産、有価証券、特許権・著作権も含む)に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。(売買・贈与を受けること・廃棄)四 訴訟行為をすること(原告となること)。五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。(贈与をすること・和解・仲裁合意)六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。(自己にとって不利益な行為)八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。(短期賃貸借)十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。⑨ここで元本を領収し、又は利用することとはどういうことなのか?⑩保佐人の同意またはこれに代わる許可の「これに代わる許可」とはなんなのか? →家庭裁判所による許可 ⑪保佐人の同意等のない行為を取り消すことができるのは誰なのか?→民法120条が制限行為能力者に加え、「同意することができる者に限り」取り消すことができると規定しているからでよいか? ⑫民法13条1項各号と営業行為との関係をどのように説明すればよいか?重要な財産行為という点で共通といえばそれで足りるのか? →例示列挙なのか、限定列挙なのか? →(取消権者)民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。<4> 被補助人→精神障害により事理弁識能力が不十分(まだらボケ状態)であり、家庭裁判所で補助開始の審判を受けた者 民法13条1項各号の一部の行為をする場合に、補助人の同意を必要とし、同意がなければ取消し 補助人には審判を受けた行為については代理権があることから、代理営業ができる。民法第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。(被補助人及び補助人)民法第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。(補助人の同意を要する旨の審判等)民法第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。 ⑬補助人の代理権に関する根拠条文は民法876条の9でよいか?(補助人に代理権を付与する旨の審判)民法第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの商法総則14(2021年版:商人とは?商行為とは?民法から見たら?)>ラジオ収録20210414テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年)東洋大学教授 楠元純一郎(商法)東洋大学講師 根岸謙(民法)哲学者 松尾欣治国際関係学者 福留邦浩編集 レオー 商法を担当します楠元純一郎です。商法総則に関するこのラジオ講義も2年目を迎えました。今回から、商法を一般市民の方々にもよりいっそうわかりやすく解説し、そして民法や哲学などの視点からも多角的にとらえてみたいとの思いから、昨年に引き続き、哲学者の松尾先生のご出演に加え、新たに同僚の民法学者である根岸謙先生と私の高校の同窓で国際関係学者の福留邦浩先生にもお時間の許すかぎり、適宜ご出演いただくことになりました。とくに、商法を教える際に、その一般法である民法との絡みで、民法学者はどのように教えているのか、たいへん興味がありましたので、この場で確認できるというのは私にとってもたいへんありがたいことだと思います。また、法律専門外の学識経験者からも斬新な視点を示してもらえることがあれば幸いに存じます。まさに、商法の民法・哲学との融合に期待しています! 本日のテーマは、「商人とは何か?商行為とは何か?民法から見たら?」。1 商人の概念 → 商法総則の適用 →商法総則とは商人に関する法 商人の定義には商行為の概念が必要!2 商法総則は商人の何に関する法か? → 商人の物的施設(商号、商業登記、営業譲渡、商業帳簿等)と商人の人的施設(商業使用人、代理商)に関する法 → 商人とは何か?商人なら何ができるか?商人なら何をしなければならないか?3 商人も人 → 人とは何か? 一般の人<特別な人(商人<会社) 自然人(一般の人、商人(個人商人))<法人<会社(営利社団法人) 4 民法はこの世の中の森羅万象をどのようにとらえているのか? → 人、物、そして?※権利は? → 人、物、行為(権利は行為の結果発生するもの)5 商行為の「行為」とは何か? → 適法行為→法律行為、準法律行為(事務管理)、事実行為 違法行為→不法行為 ※不当利得(行為ではなく事実状態) → 法律行為とは意思表示を要素として一定の法律効果(権利・義務)を発生させる法律要件 法律行為→単独行為(遺言、解除権、取消権) 契約 合同行為(社団の設立?) → 商行為の行為の中心は法律行為の中の契約 → 絶対的商行為は安く仕入れて高く売る販売行為等 → 営業的商行為は各種のサービス業 → 附属的商行為は、商人が営業のためにする行為(営業資金の借入れ、広告等)6 商人の概念 → 商法総則の適用 →商法総則とは商人に関する法 商人の定義には商行為の概念が必要!7 商法総則は商人の何に関する法か? → 商人の物的施設(商号、商業登記、営業譲渡、商業帳簿等)と商人の人的施設(商業使用人、代理商)に関する法 → 商人とは何か?商人なら何ができるか?商人なら何をしなければならないか?
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法26(2021年版:会社って何?民法から見たら?)>ラジオ収録20210420東洋大学教授 楠元純一郎(商法)東洋大学講師 根岸謙(民法)哲学者 松尾欣治国際関係学者 福留邦浩編集 レオー東洋大学の大学院生、学部生のみなさん 会社法を担当します楠元純一郎です。会社法に関するこのラジオ講義も2年目を迎えました。今回から、商法を一般市民の方々にもよりいっそうわかりやすく解説し、そして民法や哲学などの視点からも多角的にとらえてみたいとの思いから、昨年に引き続き、哲学者の松尾先生のご出演に加え、新たに同僚の民法学者である根岸謙先生と私の高校の同窓で国際関係学者の福留邦浩先生にもお時間の許すかぎり適宜ご出演いただくことになりました。とくに、会社法を教える際に、その一般法である民法との接点を民法学者はどのように教えているのか、たいへん興味がありましたので、この場で確認できるというのは私にとってもたいへんありがたいことだと思います。また、法律専門外の学識経験者からも斬新な視点を示してもらえることがあれば幸いに存じます。まさに、会社法の民法・哲学との融合に期待しています!本日のテーマは、「会社って何?民法から見たら?」。会社は営利・社団・法人である。営利とは →会社法上は、対外的活動により利益を追求し、構成員(社員=出資者=株式会社なら株主)にその利益を分配すること。 →分配の根拠→会社105条2項→剰余金配当請求権、残余財産分配請求権の全部を与えない旨の定款の定めは無効。 もともと、営利の意味は、収支相償うこと。社団とは →人の集合体 →出資者(社員=構成員)が出資をし、社員総会を開催 なぜ、社員は社団の構成員社員は出資をした会社の最終的なリスクの負担者であることから、社員の会社の実質的な支配権があるべきという発想。 ※一人会社は潜在的には社団→会社法は会社を社団であるとは定義しなかった。 → 同じく人の集合体である民法上の組合とは? ※民法上の組合にはどのようなものがあるか? 民法上の組合は営利か非営利か?→契約次第? → 財団とは?→物の集合体 →寄付者が寄付をし、社員が存在しない。法人とは 会社は法人とする(会社3条)。 法人って何?→ 自然人以外の人→人には自然人と法人がある。 →権利義務の主体→権利を有し、義務を負う受け皿 法人の特徴 ①自然死がない ②法人の名前をもつことができ、登記もできる。 ③自然人とは別個の会計(法人名義で銀行口座が作れる!) ④法人の名前で訴えたり、訴えられたりする。 → 民法では法人についてどのように説明するのか?私権の享有は出生に始まる(民3条1項)。→私権って何ですか?会社法上の会社以外の法人→非営利法人(公法人、公益法人、その他の非営利法人(協同組合、一般社団法人、一般財団法人など))法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない(民33条1項)。共同体(団体)だからといって、常に法人であるわけではない。 → 例えば、民法上の組合、同窓会(法人格なき社団)。法人の権利能力→法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う(民34条)。学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる(民33条2項)。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法25(組織再編、事業譲渡)>ラジオ収録20210123組織再編行為組織再編行為→複数の会社が一つになったり(会社合併) 一つの会社が複数に分裂したり(会社分割) 会社の上に完全親会社ができたり(株式交換・株式移転) 会社の下に完全子会社ができたりする行為(株式交換・株式移転)M&A(Merger & Acquisition)→合併と買収→企業買収 会社法上の定義→組織再編行為は、会社法の定める一定の手続(効力発生前の手続) (代表者同士の契約締結→事前の開示→(組織再編行為の差止め)→株主総会特別決議による承認→反対株主の株式買取請求権(会社からの退出の機会→組織再編の効力発生→事後の開示→決議の無効・取消し))を経ることにより、法律上当然に、会社間または新設会社との間で、権利義務の包括承継という効果を、形式的にまたは実質的に生じさせる行為。 組織再編行為にはなにがあるか? →合併 株式交換 株式移転 会社分割<合併のパターン> A社←ーーー合併契約締結ーーー→B社 ① A + B → A A(存続会社)がB(消滅会社)を吸収合併 ② A + B → B B(存続会社)がA(消滅会社)を吸収合併 ③ A + B → B A(消滅会社)がB(新設会社)を新設合併 ④ A + B → C AとBがC(新設会社)を新設し、三社で合併し、AとBが消滅(新設合併)対価 ①の場合 B社の株主らはA社からA株式を対価として受け取る。→以後、A社の株主となる。 B社の反対株主は、B社からその株式を公正な価格で買い取ってもらう。<株式交換> 既存の会社同士AB間で完全親子会社関係を創設、既存会社は消滅しない。 A←ーーー株式交換契約ーーーー→B A社がB社の株式を100%取得 B社の株主はA社から対価としてA株を取得→以後、元々B社の株主だった者はA社の株主となる。A社だけがB社の株主となる。 A(完全親会社) ↓ B(完全子会社)<株式移転> 既存の会社と新設の会社との間で完全親子会社関係を創設 A(既存の会社)・・株式移転計画・・・・・・・・→ B(新設会社) B社がA社の株式を100%取得 A社の株主はB社から対価としてB株を取得→以後、元々のA社の株主はB社の株主となる。 Aの株主はB社のみ B(完全親会社) ↓ A(完全子会社) A社がB社の株式を100%取得 A(完全親会社) ↓ B(完全子会社)<会社分割> 会社の事業の再編 A←ーーーー会社分割契約ーーーーー→B | | | X Y Z (事業) AがBのX事業を承継 A社がB社になんらかの対価を付与(物的分割) A社がB社の株主になんらかの対価を付与(人的分割) 組織再編ではないが、それに類似した行為 →株式交付 → 親子会社関係を創設する行為であるが、完全親子会社関係ではない。 事業譲渡 → 会社分割のような組織再編による包括承継ではなく、取引による特定承継。 合併 合併→複数の会社が合体して法的に一つの会社となる行為で、ある会社は存続し、ある他の会社は消滅するもの。 吸収合併→存続会社Aが合併による消滅会社Bの財産および権利義務を承継するもの 新設合併→消滅会社Aの財産および権利義務を新設会社Bが承継取得するもの→Aが有していた免許をBは再取得しなければならないことが欠点。→ほとんど、利用されない。 株式会社と持分会社(合同会社・合資会社・合名会社)は合併できるか? →できるが、持分会社が株式会社を吸収合併するとなると、消滅会社である株式会社の株主は、以後、持分会社の社員となってしまう→持分の譲渡は著しく困難→総株主の同意が必要 外国の会社は日本の会社と合併できるか? →外国会社はまず日本子会社を設立し、買収対象会社と合併させる。 外国会社 | | 日本子会社(買収会社)←ーー合併契約ーー→対象会社(Targeted Company) 日本の会社は外国の会社と合併できるか? 合併の目的→企業規模の拡大 相乗効果(シナジー)を生み出し、企業価値の向上 危機的状況にある会社の救済等 合併の手続 (1)合併契約の締結 代表取締役(代表者)同士の合併契約締結(会社748条) 合併契約に定めなければならない事項(会社749条1項各号) ①当事会社の商号・住所 ②存続会社が消滅会社の株主に交付する合併の対価の種類、総数、総額またはその算定方法 ③対価の割当てに関する事項 ④消滅会社が発行している新株予約権の扱い ⑤合併の効力発生日 合併の対価→対価柔軟化→存続会社の株式・社債・新株予約権・新株予約権付社債、その他、存続会社の親会社の株式・社債、金銭、金銭以外の財産 (2)事前の開示 合併承認株主総会の会日の2週間前から(事前の開示)、 ※合併登記から6ヶ月後までの間(事後の開示) →合併条件に関する書類を本店に備え置き→株主および債権者へ開示(会社782条、794条) →合併承認決議、債権者異議手続の参考にさせるため 開示対象(消滅会社の場合) ①合併契約 ②合併対価の相当性に関する事項→合併比率が公正か?どうかの判断 ※発行済株式総数が同数だと仮定する。 Aの純資産はBの2倍 AがBを吸収合併 AがBの株主に付与する対価(A株)の割合はB株に対して、どうか? 純資産 A:B = 2:1 株式の交換比率 A:B = 1:2 → B株2株に対して、AはA株1株を対価として付与すればいい。 ③合併対価について参考となるべき事項→合併対価の譲渡制限の有無、市場の有無等対価の換価性に関する情報、対価が存続会社以外の株式等である場合の対価の権利内容、 ④新株予約権の定めの相当性に関する事項 ⑤計算書類等 ⑥存続会社の債務の履行の見込みに関する事項→消滅会社の債権者にとって重要 ⑦備置開始日後の変更組織再編2、事業譲渡前回の復習 組織再編→合併、会社分割、株式交換、株式移転 (代表者間の契約+株主総会の承認) 包括承継 法律上当然に承継→債権者異議手続が必要 事業譲渡(取引) →特定承継 個別的な移転手続が必要 →債権を譲渡する場合→債務者に通知・債務者の承諾(対抗要件) 債務を譲渡する場合→債権者の同意 組織再編手続における事前の開示・事後の開示→主に株主・債権者を救済するため 吸収合併の例(対価としての株式の強制交換における株主の救済) 吸収される会社の株主 →吸収する会社の株式と強制的に交換→交換比率(対価の公正性) 例えば、A社(吸収会社)に株式の1株あたりの価値2 B社(被吸収会社)の株式の1株あたりの価値1 交換比率→A株1株とB株2株と交換 →株式の譲渡自由→譲渡制限株式→株主にとって不利益変更(交換される株式の内容) 吸収する会社の株主→増加する財産に比べ、交付する対価の方が多い→吸収会社の株主にとっての対価の不公正 吸収される会社の債権者→債務者の変更→弁済資力の減→債権者にとって不利益変更 吸収する会社の債権者→吸収によって負債が増える→債権者にとって不利益変更 合併承認株主総会の会日の2週間前から、合併登記から6ヶ月後までの間→合併条件に関する書類を本店に備え置き→株主および債権者へ開示(会社782条、794条)→事前・事後の開示 事前・事後の開示制度の目的 →両当事会社の株主が合併承認決議において賛成するか反対するか、判断するため 債権者が債権者異議手続を行うかどうか、判断するため 開示事項(消滅会社の場合) ①合併契約 ②合併対価の相当性に関する事項→合併比率が公正か?どうかの判断 ③合併対価について参考となるべき事項→合併対価の譲渡制限の有無、市場の有無等対価の換価性に関する情報、対価が存続会社以外の株式等である場合の対価の権利内容、 ④新株予約権の定めの相当性に関する事項 ⑤計算書類等→組織再編比率の計算にとって必要 ⑥存続会社の債務の履行の見込みに関する事項→消滅会社の債権者にとって必要な情報 ⑦備置開始日後の変更 株主総会の承認 当事会社における株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が総会に出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決)が原則 →例外 簡易組織再編(鯨が鰯を飲み込む)→鯨の方では株主総会の承認決議不要 略式組織再編(消滅会社の90%以上の大株主が存続会社である場合→消滅会社での株主総会の承認決議不要) 反対株主の株式買取請求権 会社からの退出の機会 買取価格→公正な価格→組織再編行為に反対した株主にはシナジー公正分配価格を与える必要はない)し(ナカリセば価格でよい)、組織再編行為自体には賛成したが組織再編比率に反対した株主にナカリセバ価格を与えるのは不合理。→反対株主が組織再編に反対した理由に応じてナカリセバ価格とシナジー公正価格のいずれかが与えられるべき。 ※ナカリセバ価格→組織再編公表前の市場価格(株価がシナジーを織り込む前の公正価格)原則としては、組織再編は両当事会社の株主総会で承認決議(特別決議)を得る必要あり。<ただし、例外あり> 簡易組織再編と略式組織再編 簡易組織再編→大きな会社が小さな会社を飲み込む(鯨が鰯を飲み込む)規模の小さい会社との組織再編→規模の大きい会社の株主にとって重要な意思決定事項ではない。→規模の大きい会社側の株主総会決議を不要とするもの。 規模の小さい会社が20%以下 略式組織再編→株主総会決議を行っても結果は賛成で変わらないから省略→他の会社の議決権の90%以上を保有している会社を特別支配会社→90%以上保有されている会社では株主総会決議が不要 新株予約権の処理 消滅会社が発行している新株予約権が合併によって存続会社に引き継がれるか? 存続会社が存続会社の新株予約権または金銭を消滅会社の新株予約権者に交付しなければならない。 債権者異議手続 業績の悪い会社と合併→債務が不履行となるおそれ 交付金合併→会社の財産の増加に見合わない金銭の流出のおそれ 債権者が異議の述べた場合→弁済、相当の担保の提供、弁済のための相当の財産の信託 違法な組織再編に対する救済 (事前)差止め→組織再編が法令・定款に違反し、株主が不利益を受けるおそれがあるとき ※合併比率の不公正も差止事由にならない?。 (事後)無効の訴え→法定安定性・取引の安全に配慮すべき→訴えによる方法→提訴権者→株主等(株主・取締役・執行役・監査役・清算人)、破産管財人、合併を承認しなかった債権者(異議を述べた債権者) 提訴期間→効力発生日から6か月間 無効事由→重大な手続違反→①合併契約書が法定の記載事項を欠いている場合、②承認決議に無効・不存在・取消事由がある場合、③債権者異議手続が取られなかった場合、④合併内容の法令違反、⑤独占禁止法違反 ※組織再編比率の不公正は無効原因となるか?→無効原因となると解すべき。 無効判決→対世効、遡及効なし(将来効)。会社分割 1つの会社を2つ以上の会社に分けること。 分割会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後、承継会社に承継させること(吸収分割) 分割会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後、新設会社に承継させること(新設分割)。 会社の事業を2以上に分けて複数の会社に行わせる→物的分割→分社型 分社後の会社の資本関係を断つ人的分割→分割型 新設分割→新設分割会社が会社分割によって設立する会社(新設分割設立会社)に権利義務の全部または一部を承継させること。 吸収分割→吸収分割をする会社(吸収分割会社)が既存の他の会社(吸収分割承継会社)に権利義務の全部または一部を承継させることをいう。 吸収分割の場合の対価→柔軟化→株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債、金銭等。 →包括承継が生じる。 手続 新設分割→新設分割計画 吸収分割→吸収分割契約 事前の開示手続→株主総会特別決議→反対株主の株式買取請求・債権者異議手続→効力発生→事後の開示 濫用的な会社分割 財務上危機的な状況にある会社が、優良資産と一部の負債を新設分割設立会社に承継させて事業を継続 分割会社→→→→→→→→優良資産・一部の負債→→→→→新設分割設立会社(新しい箱) 取り残された一部の負債 ↑ ↑ ↑ 残存債権者 その他の債権者ーーーーーーーーーーーーーーーーーー→↑ 偏頗行為 詐害的な会社分割 残存債権者を救済する明文の規定は平成26年会社法改正前にはなかった。 学説上の解釈→法人格否認の法理、民法上の詐害行為取消権 <平成26年会社法改正後> 分割会社が残存債権者を害することを知って新設分割または吸収分割をした場合→残存債権者は設立会社または承継会社に対し、承継財産の価額を限度として、自己に対する債務の履行を請求することができる。 労働者の異議申出手続 会社←労働契約→労働者 会社分割→労働契約関係も当然承継 労働契約の承継について会社が個々の労働者と協議を行う義務を課している。 「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する契約(会社分割労働承継法)」→労働者の異議申立手続 分割会社は、①承継事業に主として従事する労働者、および、②①以外で承継会社・設立会社が契約(承継事業に主として従事していない労働者)を承継する労働契約の労働者に通知を行う。①のうち、分割契約等で承継会社等が承継する労働契約は、労働者の同意なく設立会社等に移転する。承継の対象とされなかったもの、すなわち、承継事業に主として従事する労働者であるのに、その労働契約が承継会社等に承継されないものについては、当該労働者が異議を申し出れば、承継の対象となる。②の労働契約、すなわち、承継事業に主として従事するのでない労働者であるのに、その労働契約が承継会社等に承継されるものについては、当該労働者が異議を申し出れば、承継の対象から除外される。 ※①承継事業に従事しているにもかかわらず労働契約が承継されないか、 ②承継事業に従事していないにもかかわらず労働契約が承継された。 労働者はこれに異議を述べれば救済される。事業譲渡 →会社の行なっている事業を一体として他の者に譲渡する行為→株主総会の特別決議 ①事業の全部の譲渡 ②事業の重要な一部の譲渡 →この譲受会社では総会決議不要 ③他の会社の事業の全部の譲受け 非事業譲渡だが、事業譲渡と同じ規制に服せしめる→株主総会の特別決議 ④子会社株式の全部または重要な一部の譲渡 ⑤事業の全部の賃貸・事業の全部の経営の委任、損益共通契約 ⑥事後設立 設立では財産引受けには変態設立事項として定款に記載し、目的財産の価値が公正かどうかについて検査役の調査を受ける。設立後2年以内に取締役が設立時の財産引受けに相当する重要財産の譲受けを行う場合、設立規制の脱法行為であるから、株主総会の特別決議を要する。 事業譲渡者→競業避止義務 株主総会決議が不要となる場合 簡易事業譲渡→総資産の20%以下の資産を譲渡する場合→譲渡会社において株主総会決議は不要 略式事業譲渡→特別支配会社への事業譲渡→特別被支配会社において株主総会決議は不要事業譲渡の場合→債権者異議手続がない→なぜか? 事業譲渡では組織再編のような包括承継は生じない。 事業譲渡は特定承継なので、譲渡会社の財産を譲受会社に個別に移転する手続が必要 面積的債務の移転→債権者の承諾が必要 ちなみに、債権の譲渡→債務者への通知、債務者の承諾が必要(対抗要件)
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法12(場屋営業、倉庫営業)>ラジオ収録 20210123場屋営業場屋営業の定め→商事寄託の定め(商595条~617条)寄託とは? →当事者の一方があるものを保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生じる契約(民657条) ※2017年民法(債権法)改正→要物契約から諾成契約へ変更民657条→民事寄託(非商人が寄託を受けた場合)商595条→商事寄託(商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合) 商596条〜598条→商人の中でも場屋営業者が寄託を受けた場合の特則 商595条〜617条→商人の中でも倉庫営業者が寄託を受けた場合の特則 商人が一般に寄託を受ける場合→商事寄託(商法第9章商595条〜617条、第1節→商人が受寄者となった場合→場屋営業者の受寄者としての責任も含む、第2節→倉庫営業)場屋(じょうおく)営業とは? →客の来集を目的とする場屋(じょうおく)における取引(商502条7号)→営業的商行為の一つ →旅館(旅店・ホテル)、飲食店(食堂・レストラン)、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者(場屋営業者)→例示列挙→一般公衆が集まるような施設(物的施設・人的施設)で、 各種のサービスを提供する営業→劇場、映画館(興行施設)、遊技場(娯楽・スポーツ施設) ※理髪店は判例上は、場屋営業ではない(理髪の請負または労務に関する契約があるだけで、設備の利用を目的とする契約は存在しないから。大判昭12・11・26民集16・1681)→学説から批判 場屋営業→場屋には多数の客が来集→その施設に滞留→所持品携帯→滅失・損傷→場屋営業者に重い責任なぜなのか?商事寄託における受寄者に共通する注意義務→商595条民事寄託→有償・無償で注意義務の程度を区別 無償受寄(無報酬で寄託を受けた)の受寄者→「自己の財産に対するものと同一の注意」をもって寄託物を保管する義務(民659条)→民法の特則 有償受寄(報酬を受けて寄託を受けるた)の受寄者→善管注意義務(民400条)→より高度な義務 民400条→特定物の引渡しの場合の注意義務→善管注意義務→民法の一般規定 寄託物・受寄物の返還→特定物の引渡し+有償受寄(民659条との対比から) 商事寄託→有償・無償にかかわらず高度な善管注意義務 →有償、無償にかかわらず、受寄者は→善管注意義務→受寄者である商人の信用力を高め、寄託者を保護するため(商595条)場屋営業者の責任(商596条〜598条) 寄託契約がある場合 寄託契約がない場合客から物品の寄託を受けた場合(商596条1項)→寄託契約がある場合の場屋営業者の責任 寄託契約上の責任→契約の債務不履行責任→損害賠償責任(民415条)→過失責任 民事寄託であろうと商事寄託であろうと一般的に受寄者の責任→寄託契約に基づく債務不履行責任(民415条)→債務不履行→債務者の責めに帰することのできる事由によるもの→過失がなければ責任を負わない(過失責任)→しかし、商事寄託の中でも場屋営業者には特則→場屋営業者の受寄者としての責任(寄託物の滅失・損傷)→「不可抗力によるものであったことを証明しなければ損害賠償の責任を免れることができない」→過失がなかったこと(無過失)に加え、不可抗力によるものであったことまで立証しなければならない(商596条1項)。→無過失責任!?→場屋営業者の重い責任(責任の加重)場屋営業主の責任はなぜこのように重いのか? →旅店主や運送人が盗賊と結託して、客から預かった荷物を奪うことが多かったローマ時代において、 受領という事実だけで厳格な結果責任を課していたローマ法上のレセプツム(receptum)責任に由来寄託を受けたかどうかが争われた裁判例 ホテルの敷地内で自動車を移動させるために自動車の鍵をホテルの従業員に預けた場合→寄託あり(大阪後高判平成12・9・28判時1746・139) ゴルフ場のクラブハウス内の貴重品コインロッカーに財布を預けたが盗取された場合→寄託なし(秋田地裁平17・4・14判時1936・167)不可抗力の定義 →一般に、当該事業の外部から生じた出来事で、事業者が通常必要と認められる予防を尽くしても防止することができない危害 主観説→事業の性質に従い、最大の注意をもってしても避けられない場合→無過失責任に近く、厳しすぎ 客観説→特定事業の外部から発生した出来事で、通常その発生を予測できないもの→過失責任だが厳しすぎ 折衷説(通説・裁判例)→特定事業の外部から生じた出来事であって、かつ、通常必要と認められる予防を尽くしてもその発生を防止できないもの客から物品の寄託を受けない場合→寄託契約がない 客がとくに寄託しない物品→寄託契約がない→場屋の中に携帯した物品→場屋営業者が注意を怠ったこと(善管注意義務違反=過失)によって滅失・損傷したとき→場屋営業者は損害賠償責任を負う(商596条2項)→過失責任→場屋営業者の過失の立証責任は客側にあり。 免責の一方的表示 →例えば、張り紙「お客様の携行品が万一盗難、紛失、損傷したとしても、当方は一切、責任を負いかねます。」 客の携行品については責任を負わない旨の一方的表示→一方的表示には意味がない→場屋営業者は商596条2項の責任を免れない(商596条3項)→一般公衆を保護するための強行規定 ただし、商法596条1項・2項は任意規定→当事者間の別段の合意があればそれを優先→場屋営業者の責任を免除または制限する特約(約款)はありうる。 高価品の特則 貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類および価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失・損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない。(商597条) 問題は、高価品である旨の通知はなかったものの、場屋営業者またはその使用人がそれを知っていたか、または故意に損害を与えた場合でも、この高価品の特則は適用されるのか?→免責されない! →商法577条2項(一定の場合における高価品の特則の適用を排除する規定)と同様に解することができるのではないか?→類推解釈 →不法行為による法律構成もあり得る判例あり(大判昭17・6・20新聞4787・13) 責任の短期消滅時効 場屋営業者が悪意でない限り、寄託物を返還し、または客が場屋の中での携帯品を持ち去った時から1年倉庫営業倉庫営業者→他人のために物品を倉庫に保管することを業とする者(商599条)倉庫営業→寄託の引受け(商502条10条)→営業的商行為倉庫営業についての業法的規制→倉庫業法倉庫業法上の定義 倉庫→物品の滅失もしくは損傷を防止するための工作物または物品の滅失もしくは損傷を防止するための工作を施した土地もしくは水面であって、物品の保管の用に供するもの 倉庫業→寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業(B2B) トランクルーム→その全部または一部を寄託を引き受けた、消費者の物品の保管の用に供する倉庫(B2C)倉庫営業者の登録→国土交通大臣の登録倉庫寄託契約→諾成契約(平成29年改正前民法では要物契約。要物契約から諾成契約へ) 民657条→寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによってその効力を生ずる。倉庫寄託約款→倉庫営業者は倉庫寄託約款を定め、その実施前・変更時に国土交通大臣の届け出なければならない。国土交通大臣は、倉庫寄託約款が寄託者または倉庫証券の所持人の正当な利益を害するおそれがあると認めるときは、当該倉庫営業者に対し、期限を定めてその倉庫寄託約款を変更すべきことを命ずることができる。 寄託者←倉庫寄託契約→倉庫営業者倉庫営業者の義務 目的物保管義務 善管注意義務(民659条、商595条)→商人が営業の範囲内で寄託を受けた場合→無報酬であっても善管注意義務 倉庫業法上の付保義務(一定の場合の火災保険) 再委託・保管場所の変更→寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用できないし(民658条1項)、その承諾を得たか、やむを得ない事由があるとき以外は再寄託もできない(同条2項)。また、正当な事由がなければ保管場所の変更もできない(民664条ただし書) 通知義務→寄託物につき権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、または差押え、仮差押えもしくは仮処分をしてきた場合、原則として倉庫業者は遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない(民660条1項本文)。 倉荷証券の交付義務→倉庫営業者は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない(商600条)。 帳簿記載義務→倉庫営業者は倉荷証券を寄託者に交付したときは、その帳簿に所定の事項を記載しなければなならない(商602条)。 寄託物の点検・見本摘出義務→寄託者または倉庫証券の所持人は、倉庫営業者の営業時間内は、いつでも寄託物の点検もしくはその見本の提供を求め、またはその保存に必要な処分をできることから(商609条)、倉庫営業者にはこれに応じる義務がある。 目的物の保管期間および返還義務 (1)保管期間の定めがある場合→受寄者(倉庫業者)は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない(民663条2項)。→標準倉庫寄託約款(甲)→受寄物の保管期間は3か月。 (2)保管期間の定めがない場合→倉庫営業者は、やむを得ない事由があるときを除き、寄託物の入庫日から6か月を経過した後でなければその返還をすることができない(商612)。民法の場合、受寄者はいつでも目的物を返還できる663条1項)。 (3)返還の場所→原則はその保管をすべき場所で。しかし、倉庫営業者が正当な事由によりその物を保管する場所を変更したとき→現在の場所で(民664条) (4)返還の相手方 倉荷証券が作成された場合→倉荷証券所持人に対して 倉荷証券が作成されていない場合→原則として寄託者に対して(民660条2項本文)。ただし、目的物を第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決があったときは、当該第三者に対して(同条2項ただし書)。 倉庫営業者の責任 倉庫営業者は寄託物の保管に関し、注意を怠らなかったことを証明しなければ、その滅失または損傷につき損害賠償の責任を免れることができない(商610条) 倉庫営業者の責任=過失責任 注意を怠らなかったことを証明→過失推定責任 標準倉庫寄託約款(甲)→故意・重過失(軽過失免除)、立証責任は寄託者等の請求者に転換 内容不知約款(免責約款)→目的物の内容・個数・重量・数量等が正確か否かについて倉庫営業者が不知である場合、一切の責任を負わない旨の約款 判例(最判昭44・4・15民集23・4・755)→内容を検査することが容易でなく、または荷造りを解いて内容を検査することによりその品質または価格に影響を及ぼすことが、一般取引の通念に照らして、明らかな場合に限って有効。 倉庫営業者の責任の消滅事由→寄託者または倉荷証券の所持人が異議をとどめないで寄託物を受け取り、かつ、保管料等を支払ったときに倉庫営業者の責任は消滅(商616条)。 倉庫営業者の責任にかかる債権の消滅時効→寄託物の出庫日から1年。 倉庫営業者の権利 保管料支払請求権(商512条) 費用償還請求権(民665条、650条) 民650条 受任者による費用等の償還請求権 目的物の供託および競売権→寄託者または倉荷証券の所持人が寄託物の受領を拒み、またはこれを受領することができない場合、目的物の供託、相当の期間を定めて催告した後に競売(商615条、524条1項・2項) 倉荷証券 目的物返還請求権を表章した有価証券 寄託者→請求→倉庫営業者 | ←倉荷証券 ↑ 受寄物の処分 ↑ ↓ ↑ 倉荷証券 ↑ 所持人ーーーーーー| 性質→要式性、法律上当然の指図証券性、受戻証券性、要因証券性、処分証券性 倉荷証券の債権的効力→倉庫営業者は倉荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の所持人に対抗することができない(文言証券性)(商604条)→倉荷証券の債権的効力→証券上に記載されている文言(もんごん)どおりの効果が発生する。 倉荷証券には相矛盾する要因証券性と文言証券性が並存しているため、その調和を図ることが重要 品違い(倉庫営業者が受け取った目的物と倉荷証券上の記載が異なっている場合)→判例は、文言証券性を重視→証券に記載されている目的物を返還できない→債務不履行責任 空券(実際には目的物を受け取っていないにもかかわらず、倉荷証券が発行されている場合) →判例は、契約もないかもしれないし、あったとしても目的物を受け取っていないかもしれない→要因性を重視し、証券を無効とする。 倉荷証券の物権的効力 寄託物の処分→倉荷証券が作成された場合→倉荷証券によってしなければならない。(商605条) 倉荷証券を引渡したとき→その引渡し→寄託物について行使する権利の取得に関しては、寄託物の引渡しと同一の効力を有する(商607条)→つまり、倉荷証券を引渡したことは、寄託物を引渡したことと同じ効力。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法11(運送営業)>ラジオ収録 20210116運送営業 運送とは→物品または旅客を場所的に移動させること(距離の差の克服) 商法→社会において必需的な運送の重要性を考慮し、運送契約当事者間(荷送人と運送人)の利益を調整することが目的 運送契約=請負契約 物品運送と旅客運送 物流(ロジスティックス)関係法→運送営業、運送取扱営業、倉庫営業 運送人の定義→陸上運送、海上運送または航空運送の引受けをすること業とする者(商569条1号) →実際の運送を第三者(下請運送人)に委託する者も運送人に含まれる。 運送人=自己の名で、運送に関する行為(営業的商行為・商502条4号)を業として行う者=商人 陸上運送→陸上における物品または旅客の運送(商569条2号) 商法第2編第8章の運送営業→陸上運送(物品運送・旅客運送) 陸上→地理上の陸上および地中 旅客→自然人 海上運送→商684条に規定する船舶による物品または旅客の運送(商569条3号) 船舶→①商行為をする目的で航海の用に供する船舶→航海船・商船 ②商行為をする目的でもっぱら湖川、港湾その他の海以外の水域において航行の用に供する船舶(非航海船) →それ以外の船舶には陸上運送に関する法令が適用(ただし、端舟、櫓櫂をもってする舟を除く) 海上物品運送で船積港または陸揚港が日本国外にあるもの→国際海上物品運送法が適用 いずれも日本国内の場合→海商法が適用 航空運送→航空法2条1項に規定する航空機による物品または旅客の運送(商569条4号) 航空機→人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼飛行機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器 →適用法→航空法、1929年ワルソー条約、1955年ハーグ改正ワルソー条約、1999年モントリオール条約→航空運送約款物品運送 物品運送契約の意義→運送人が荷送人からある物品を受け取り、これを運送して荷受人に引き渡すことを約し、荷送人がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(商570条) 荷送人←物品運送契約→運送人→荷受人 (または、船荷証券の所持人等) 物品運送契約の性質 運送の委託(申込み)→承諾→諾成契約 有償契約 請負契約(民632条) 運送契約当事者の権利・義務 荷送人の義務送り状の交付義務(商571条1項)→運送人の請求により所定の事項(運送品の種類、運送品の容積・重量・包み、個品の数、運送品の記号、荷造りの種類、荷送人および荷受人の氏名または名称、発送地、到達地)を記載した書面 危険物に関する通知義務→荷送人は、運送品が引火性、爆発性その他の危険性を有するものであるときは、その引渡しの前に、運送人に対し、その旨および当該運送品の品名、性質その他の当該運送品の安全な運送に必要な情報を通知しなければならない(商572条) 通知義務違反の効果→荷送人の運送人に対する損害賠償責任(過失責任) 運送人の権利 運送という仕事を完成したとき、報酬(運送賃等)請求権(商512条) →特約があれば、前払請求も可。 →運送品が不可抗力によって滅失・損傷したとき→運送人は運送賃を請求することができない。 →不可抗力→当事者双方の責めに帰することができない事由で、一般に、当該事業の外部から生じた出来事で、事業者が通常必要と認められる予防方法を尽くしても防止できない危害 →運送品がその性質もしくは瑕疵または荷送人の過失によって滅失・損傷したとき→運送人は運送賃の全額を請求することができる。 立替費用請求権→保険料、倉庫保管料、包装費等 留置権→運送人は運送品に関して受け取るべき運送賃、付随の費用および立替金についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置することができる(商574条)→留置物と被担保債権との間に個別的牽連関係が必要 運輸の先取特権→旅客または荷物の運送賃および付随の費用に関し、運送人の占有する荷物について(民318条) 運送人の損害賠償責任 民法上→運送という債務の本旨に従った履行をしないときまたは債務の履行が不能であるとき→債務不履行→運送人(債務者)は荷送人等(債権者)に対して損害賠償を負う(民415条) ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。←過失責任 商法上→運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し、もしくは損傷し、もしくはその滅失もしくは損傷の原因が生じ、または運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管および引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない(運送契約上の債務不履行責任=商575条)←過失責任 民法と商法の損害賠償責任規定はほぼ同様、商法は単に民法を明確化したにすぎない。 運送人は、運送人の受取りから引渡しまでの間にその運送品が滅失もしくは損傷し、もしくはその滅失もしくは損傷の原因が生じ、または運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(商575条本文) ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管および引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、損害賠償の責任を免れる(商575条ただし書)→過失推定責任 商法の特則 損害賠償の額→通常損害に限られ、しかも、損害賠償額が定型化(民416条は通常損害・特別損害) ①運送品の滅失・損傷の場合→大量の運送品を扱う運送営業の性質から、特別の事情によって生じた損害は除外(民416条2項の不適用)、通常損害に対しての場合における損害賠償額は、その引渡しがされるべき地および時における運送品の市場価格によって定めることとし、市場価格がないときは、その引渡しがされるべき地および時における同種類で同一の品質の物品の正常な価格によって定める(商576条1項ただし書)。 民法上の債務不履行に基づく損害賠償責任における損害の範囲は広い →民416条→①通常損害、②予見可能な特別損害 しかし、商法の場合、 運送品の滅失・損傷のために支払うことを要しなくなった運送賃その他の費用は損害賠償の額から控除(商576条2項)。 →損害賠償額の定型化→運送人の故意または重大な過失によって運送品の滅失または損傷が生じたときは適用しない(商576条3項)。→業界保護のため、ある程度、運送人が過大な責任を負うことのないよう商法は配慮しているが、故意・重過失ある運送人まで保護する必要はない。 ②運送品の延着の場合→民法の一般原則に従って責任を負う(民416条→通常損害・予見可能な特別損害)→すべての損害を賠償する責任を負う。 高価品の特則 貨幣、有価証券、その他の高価品→荷送人がその種類および価額を通知した場合を除き、運送人はその滅失、損傷または延着によって生じた損害を賠償する責任を負わない(商577条)。 通知がない場合→運送人は免責(運送契約上の特則)→なぜか?→運送人は予期せず、過大な責任を負ってしまいかねないから。 →もし通知があれば、運送人は、①より慎重に運送したであろうし、②場合によっては、運送の引受けを拒むこともできたであろうし、③そのようにリスクを伴う運送とわかっていれば、運送賃を引き上げたであろうし、また、④保険にも付保したであろうから。→だから、免責されて当然。 ただし、運送人の不法行為責任は別か?(高価品の特則はあくまでも運送契約上の責任規定の特則だから) 高価品の通知はないものの、運送人の使用人が高価品と知ってそれを盗取した場合→不法行為責任(民709条)および使用者責任(民715条)は適用可能。←請求権競合説 ※法条競合説は少数説平成30(2018)年の商法改正(商法制定以来120年ぶりの初めての運送法関係の大改正)→商法の運送人の責任を減免する規定(損害賠償額の定型化、高価品の特則、責任の消滅に関する規定)→原則として、運送人に対する不法行為責任の請求にも適用(商587条本文) 高価品→容積・重量の割に著しく高価な物品→小さくて軽いのにたいへん高価→ダイヤモンド 運送人の責任の特別消滅事由(商584条) 荷受人が運送品の損傷、一部滅失について異議をとどめずに運送品を受け取ったとき →運送人の責任は消滅(商584条1項本文) →ただし、直ちに発見することができない損傷、一部滅失について→引渡しの日から2週間以内に通知しなければならず、通知がなければ運送人の責任は消滅(同項ただし書)→もちろん、運送人が悪意でない限り(商584条2項)。 なぜか?→大量の運送品を低廉な運賃で反復して取り扱う運送人にとっては、運送品の状態に関する証拠を長期にわたって保全することは困難だから、荷受人に速やかに異議を述べることを求め、運送人に調査の便を与えるため。 責任の消滅(除斥期間) 引渡しがされた日(全部滅失の場合は引渡しがされるべき日)から1年以内に裁判上の請求がされないとき→消滅(商585条1項)荷受人の法的地位(権利・義務) 荷受人→運送契約の当事者ではない。しかし→運送品が到達地に到達した場合、または運送品の全部が滅失した場合→物品運送契約によって生じた荷送人の権利と同一の権利を取得する(商581条1項)。 →運送品を受け取ったとき、荷送人によりまだ運送賃等が支払われていない場合→運送人に対して運送賃等を支払う義務を負う(商581条3項)。→荷送人の義務と荷受人の義務との関係→不真正連帯債務複合運送 →陸上運送、海上運送、航空運送のうち、2以上の運送を1つの運送契約で引き受ける場合 <コンテナの普及による>相次運送 →1個の運送について複数の運送企業が運送の実行に関与する場合 ①下請運送 ②部分運送 ③同一運送 ④連帯運送旅客運送 旅客運送契約→運送人が旅客を運送することを約し、相手方がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによってその効力を生ずる(商589条) 旅客運送人の損害賠償責任→運送人が運送に関して注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う(商590条) 損害賠償の範囲→民416条 ただし、旅客運送約款の特約で損害賠償責任の減免を定めることができる。しかし、旅客の生命または身体の侵害による運送人の損害賠償責任を減免する特約は無効(商591条1項)。 旅客の手荷物に関する運送人の責任 (1)引渡しを受けた手荷物の滅失・損傷→物品運送契約における運送人と同一の責任を負う(商592条1項)→過失推定責任(運送人側に無過失の立証責任があり)<例えば、飛行機の貨物室> (2)引渡しを受けていない手荷物(携行品)の滅失・損傷→運送人は故意・過失がある場合を除き、運送人は免責(過失責任)→この場合の立証責任は、旅客側にあり。<例えば、飛行機の客室に携行>
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門25(国家賠償法、外国人と財産権)>ラジオ収録20210116講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)国家賠償法憲17条「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国または公共団体に、その賠償を求めることができる。」 ↓国家賠償法(国賠法)→公権力の行使に関する賠償責任 要件 ①公権力の行使であること ②公務員であること ③その職務を行うについて ④故意または過失によって ⑤違法に ⑥損害を加えたこと 国家→損害賠償→被害者 ↓ 求償 ↓ 公務員 公権力の行使→①命令・強制 ②一方的に権利義務の変動(権利の発生・変更・消滅)をさせる権力作用 ③非権力的作用(行政指導・学校での教育活動) ④立法権・司法権の作用→国家賠償責任はほとんどなし 公権力の行使でない場合→民法上の不法行為責任 違法性 民法上の不法行為(民709条) →「他人の権利または法律上保護される利益を侵害」→権利侵害それ自体が違法 ※国賠の場合→課税処分それ自体が権利侵害→「違法性」違法とは何か? 従来説→客観的法規範違反 近時の判例→根拠法令違反があってもただちに国賠法上の違反を意味するものではなく、 公務員が行為時に「通常尽くすべき注意義務」を尽くさなかった場合に限って、 国賠法上の「違法」となる。→職務義務違反説 ※注意義務違反=過失=違法外国人と財産権 外国人→日本国籍を有しない者(外国国籍者・無国籍者)(国籍法2条、4条) 民法2条→「外国人は法令または条約に禁止ある場合を除く外、私権を享有する」 →権利能力平等の原則 しかし、権利能力の範囲→法令によって制限しうる。 特別法・政令→①外国人の私権取得の制限 ②職業選択の自由の制限を通じた私法上の地位の制限、財産権の制限 私権を制限する立法 ①不動産権保有制限→現在なし ②鉱業権・租鉱権の取得制限←資源保護の観点 ③日本船舶・日本航空機の所有権の取得制限←国防上の観点 ④年金恩給受領資格制限→ただし、共済・厚生年金制度は国籍による差別なし ⑤公証人就任資格制限 ⑥水先案内人になる資格の制限 ⑦無線通信事業者
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門24(選挙・地方自治・憲法改正・平和主義)>ラジオ収録20201213講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)選挙に関する問題第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。→選挙権② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。憲法15条→基本的人権→参政権選挙権満18才以上、一人一票。→会社法なら、資本多数決の原則選挙の原則 普通選挙→納税額の多寡、財産の有無と無関係 →第十四条(法の下の平等→基本的人権) すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 →第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。 秘密選挙→誰が誰に投票したかについて秘密を侵してはならない。 自由選挙→棄権しても、罰金、氏名公表なし。 直接選挙→選挙人が直接議員等の公務員を選挙 平等選挙→一人一票平等選挙と一票の価値 議員定数不均衡問題 投票価値=各選挙人の投票の有する影響力→平等 議員定数 A 人口10万人あたり1議員 1 B 人口5万人あたり1議員 2 議員数と人口数の比 1:2 ←議員定数の不平等 最高裁判例 投票価値の平等性を重要と認めつつ、選挙区割りを決めるに際しては人口比以外の様々な要素を考慮する必要があるとし、国会においてそうした要素を斟酌してもなお、「一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度」の格差に達しているか否か、それが「憲法上要求される合理的期間内に是正がなされなかったもの」と言えるか否か、を検討して格差の合憲性を判断。 2017年衆議院選挙 1.98合憲判決 2019年参議院選挙 3.00合憲判決 斟酌(しんしゃく)←意を汲み取る(考慮する、配慮する)地方自治 明治憲法下 官治主義→国の官吏を地方に派遣 地方公共団体の長→独自の権限なし→機関委任事務 現行憲法下 地方自治の本旨、法律主義を憲法が保障 車の両輪 住民自治→地域住民の自由な意思に基づいて地方自治が行われるべき 団体自治→国から独立した地方公共団体によってこそ地方自治が行われるべき 国と地方の関係 機関委任事務の廃止 →自治事務→地方公共団体が処理する事務 →法定受託事務→国や都道府県の関与が必要で、国が関与する場合は法令の根拠が必要 →国地方係争処理委員会→違法確認訴訟(高等裁判所) 二元代表制度→直接選挙で首長と議員を別々に選挙する制度 道州制→地方分権化(decentralization)憲法改正 憲法改正→憲法典の定めに従って修正、削除、追加すること 各議院総議員数の3分の2以上の賛成による国会の発議 国民投票における過半数の賛成(国民の承認) 2007年「日本国憲法の改正手続に関する法律」(国民投票法) 国会法「日本国憲法の改正の発議」 国会の発議 提出 衆議院100人以上、参議院50人以上の議員による提出が必要 発議→各議員の総議員の3分の2以上の賛成が必要 国民の承認 国民投票法→憲法改正の発議の日から60日から180日の間で行われる 投票総数の2分の1超の賛成→国民の承認 天皇による公布 「国民の名で、この憲法と一体をなす者として、直ちにこれを公布」平和主義日本国憲法第二章 戦争の放棄CHAPTER II. RENUNCIATION OF WAR第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。Article 9. Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.一般的な理解→戦争放棄とは自衛権の放棄までも意味するものではない。→国民の生命や財産を侵略国軍から守るための自衛権は放棄していない。日本政府の公式見解→憲法9条が放棄した戦争は侵略戦争だけであって、武装・武力威嚇・武力行使に至らない程度の自衛権の行使(自衛目的の武器の使用)は放棄しておらず、自衛のための必要最小限度の実力を備えたとしても憲法9条に違反することはない。日米安全保障条約(日米安保条約)←憲法が最高法規、条約が優先? 旧安保条約(1951年) 新安保条約(1960年) →アメリカの対日防衛義務 日本の憲法の範囲内での日本の防衛能力整備努力義務、防衛のための自助努力、施設・区域の提供義務集団的自衛権 ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利 防衛→自国の専守防衛→防衛の概念の拡張→同盟国のための防衛
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法24(会社の資金調達、募集株式の発行)>ラジオ収録20210116資金調達Finance<内部資金調達> 内部留保→剰余金を配当しないことによる、減価償却による<外部資金調達>銀行借入れ→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本社債の発行→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本株式の発行→going concern継続会社→株主に返済する必要なし→会社の資金→自己資本 ※銀行借入れと社債の違い 銀行借入れの場合、融資する銀行にとってリスクが大きい 社債の場合、小口化して証券化(リスク分散)するので、個々の投資家のリスクは比較的小さい株式発行による資金調達(Equity Finance) →新株の発行、新株予約権の発行、新株予約権付社債募集株式の発行 発行方法 ①株主割当て→既存の株主にその持株比率に応じて割り当てる→株主は新株を引き受けることができれば、その持株比率に変動なし ②公募→既存の株主だけでなく、それ以外の投資家も募集するので、株式を割り当てられる可能性がある。→既存の株主の持株比率は維持されない。 ③第三者割当て→一本釣り→縁故により特定のスポンサーに声をかける→他の者(既存株主・一般投資家)はその株式を割り当ててもらう権利がない。→既存の株主にとっては持株比率の低下につながる。他方、会社にとっては、迅速な資金調達が可能。→第三者は株式の価格のディスカウントを要求した場合→有利発行→既存株主にとっては、は持株比率の低下のみならず、一株あたりの価値の低下も免れない。授権資本制度 定款で発行可能株式総数の定め(会社37条1項、2項)=授権枠→取締役会決議による募集株式の自由発行枠(会社199条2項、201条1項) 会社設立時の発行→発行済株式総数の4分の1(残りの4分の3は取締役会の自由裁量枠) 授権枠内での取締役会の発行の自由裁量→資金ショートによる倒産を防ぎ、機動的資金調達を確保するため 授権枠を超えた発行には、取締役会の裁量なし→それでも資金を調達したい場合→生ビールのジョッキの変更→定款変更 生ビール中ジョッキ→生ビール大ジョッキ新株発行の手続公開会社では、有利発行の場合を除き、取締役会決議で募集事項を決定(会社201条1項、202条3項3号)→授権枠の範囲内で新株を発行して、割り当てることは取締役会の自由裁量→割当て自由の原則→原則として、誰にどれだけ割当ててもいい。 有利発行(時価よりも安い価格での発行)の場合は、株主総会特別決議による承認も必要。非公開会社では、原則として、株主総会特別決議で募集事項を決定(会社199条2項、309条2項5号) 募集事項→公開会社では取締役会が決定 ①募集株式の数、種類 ②払込金額またはその算定方法 ③現物出資の場合はその内容・価額 ④出資の履行(払込み・給付)の期日または期間 ⑤増加する資本金・資本準備金 募集要項の株主への通知または公告→払込期日の2週間前まで →ただし、有価証券届出書を提出している場合、通知・公告は不要 新株発行の副作用 希釈化、希薄化(dilution) ・持株比率の低下 ・1株あたりの価値の低下(有利発行の場合) 会社による募集事項等の通知・公告(会社201条3項以下)→株主に発行の差止請求の機会を付与 申込み→割当て(割当て自由)有利発行 →募集株式を引き受ける者に特に有利な払込金額で募集株式を発行する場合→株主総会特別決議による承認 募集株式を引き受ける者→株主割当以外のすべての者が含まれ、第三者割当ての場合に限られない。 特に有利とは→市場株価からのディスカウント価格 なぜ株主総会特別決議の承認を要するのか? 判例(最判昭50・4・8民集29・4・350) 上場会社の募集株式の公正発行価額は、新株主に急株主と同等の資本的寄与を求め、発行価額は旧株の時価と等しくなければならないという旧株主の利益と、新株を消化し会社が有利な資本調達を実現するという利益との調和の中に求められるべきである。支配株主が出現する募集株式の発行 支配株主(議決権50%を超える株主) 第三者割当ては、取締役会が、会社の支配株主となる者を決める手段、企業買収防衛手段としても利用可能。 しかし、誰が会社の支配者となるかは株主総会が判断すべき事項ではないか? 会社206条の2→公開会社において、株式引受人の持株割合が2分の1を超えることとなる募集株式の発行について、総株主の10分の1以上の議決権を有する株主が反対を申し出たときは、株主総会の普通決議による承認を要する。 →なぜ、株主総会の普通決議なのか?→誰が会社の支配株主になるかは、取締役の選任決議と同様、議決権の過半数による多数決で決するのが適当だから。新株発行の瑕疵(不公正発行)事前の措置(発行の差止請求) →株式会社が法令・定款に違反し、または著しく不公正な方法であり、これにより株主が不利益(持株比率の低下・一株価値の低下等、希薄化)を受けるおそれがあるとき→株主は会社に対し、発行の差止めを請求できる(会社210条1号・2号) 例えば 法令違反→公開会社なのに、取締役会決議がない 有利発行なのに株主総会特別決議がない 定款違反→定款の発行可能株式総数を超えた新株発行 定款にない種類株式の発行 著しく不公正な方法→支配権に争いがある場合において、経営者が支配権維持・強化のために、自派にのみ株式を発行するなど不当な目的による場合、資金調達の必要性がない。→不公正発行 主要目的ルール 現経営陣の支配権維持目的>資金調達目的(資金需要は常に生み出せる) (支配権が争われている場合の推認)事後の措置(無効の訴え・不存在確認の訴え)新株発行無効の訴え 提訴権者→株主、取締役、監査役 提訴期間→効力発生日から6ヶ月以内 無効事由→特に法定されていないが、取引安全の見地から重大瑕疵に限定①発行可能株式総数を超過する発行②定款にない種類の株式の発行③裁判所による差止仮処分命令に違反した発行④差止事由が存在するにもかかわらず、株主への通知・公告を欠く発行 無効事由とならない場合①株主総会特別決議を欠く第三者への有利発行②公開会社における取締役会決議を欠く代表取締役による発行③著しく不公正な方法による発行 無効判決の効力 →第三者にも判決の効力が及ぶ→対世効 将来に向かって効力を失う→将来効(遡及効なし) 不存在確認の訴え →新株発行の登記はあるが、法定手続を経ておらず、払込みもない場合、代表権がない者が発行した場合等 いつでも、誰でも、訴えを提起できる。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法23(取締役の対第三者責任)>ラジオ収録20201213講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)取締役(役員等)の対第三者責任(会社429条)取締役の会社に対する責任(会社423条)→会社に対する任務懈怠→会社に損害→会社に対して損害賠償責任→故意・過失取締役の対第三者責任(会社429条)→会社に対する任務懈怠→第三者(債権者・株主等)に損害→第三者に対して損害賠償責任→職務を行なうにつき悪意・重過失(軽過失の場合の責任免除) →会社350条→代表取締役が第三者を加害→会社が第三者に不法行為責任を負う。取締役の対第三者責任の根拠が、取締役(役員等)の会社に対する任務懈怠→会社に対する任務懈怠がどうして第三者に対する責任となるのか?会社429条の法的性質論会社と取締役(役員等)の関係(委任または準委任の関係)→取締役等は会社に対して善管注意義務を負っている。→取締役等は第三者に対して善管注意義務を負っているわけではない→取締役等は会社に対しては損害賠償責任を負うし(会社423条)、また、第三者にも対しても損害賠償責任を負う。→取締役は第三者である債権者とか株主に対して直接、関係がない。 ※契約関係あり→契約責任→債務不履行責任(過失責任)←善管注意義務も債務 契約関係なし→不法行為責任(過失責任)→なのになぜ、会社429条は第三者に対する責任規定(会社に対する任務懈怠責任)を定めているのか?→その法的性質は、民法709条の不法行為ではないのか?その法的性質について、判例(最大判昭44・11・26民集23・11・2150頁)→「株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、しかも株式会社の活動はその機関である取締役の職務執行に依存するものであることを考慮して、第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により義務に違反し、これによって第三者に損害を被らせたときは、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係があるかぎり、会社がこれによって損害を被った結果、ひいて第三者に損害を生じた場合(間接責任)であると、直接第三者が損害を被った場合(直接責任)であるとを問うことなく、当該取締役が直接に第三者に対し損害賠償の責めに任ずべきことを規定したのである。」 →両損害包含説→最高裁→取締役の対第三者責任の法的性質について、不法行為ではなく、第三者保護のための特別の法定責任私法上の責任 契約責任(債務不履行責任) 不法行為責任 特別の法定責任 民709条(不法行為)→故意・過失、過失=軽過失・重過失→軽過失でも責任を負う会社429条→悪意・重過失、重過失=軽過失を含まない過失(軽過失の場合→責任免除)→軽過失があったぐらいでは、第三者に対して責任を負わない→役員等の責任を軽減した規定重過失→ほんのちょっとだけ注意すれば結果を予見できたり、回避できたような過失会社429条でいう第三者とは?第一者 取締役を含む役員等第二者 会社第三者 会社・当該役員等以外の者(債権者・株主)会社429条の要件① 役員等が職務を行なうについて悪意・重過失(任務懈怠)② 第三者の損害の発生 ③ 任務懈怠と損害との間の相当因果関係損害の範囲(会社429条で救済される第三者の損害の範囲は?) 直接損害→取締役等役員が第三者に直接損害を与えた場合→弁済の履行見込みのない金銭の借入れ、手形の発行(代表取締役が会社が倒産することが確実となったことを認識したあとで、融資を受ける等)→この場合、会社に損害は?→融資を受けたら、会社の資産は増えることから損害はない。→倒産状態になった後、会社でお金を借りても、会社の資産は増えることはあっても減ることはないから、会社に損害は発生しないが、倒産後は第三者に直接損害を与える。お金を借りる行為=金銭消費貸借契約=取引→詐欺(欺罔し、錯誤に陥れ、金品を受け取り、相手に損害を与えること)→取引的不法行為→取締役(役員等)は第三者に対しては善管注意義務を負っていないから不法行為責任以外では説明がつきにくい。 間接損害→取締役の放漫経営(いい加減、でたらめ、杜撰、やる気がない、慎重さを欠く経営)によって会社を倒産させ、まず会社に損害を与え、会社の資産が減少した結果、第三者も弁済を受けられなくなり損害を受ける場合(放漫経営で会社を倒産させ、その結果、債権者が会社から弁済を受けられなくなること)。→倒産前に放漫経営により、まず、会社に損害が発生し、次に第三者に損害が及ぶ。→取締役(役員等)が会社に対して善管注意義務を負っていることと親和性があり。会社429条が適用される損害とは?<直接損害説(間接損害不要説)> 私見! 直接損害とは、取締役等役員の悪意・重過失による任務懈怠により、会社には損害は発生しないが、第三者に直接、損害が発生する場合。 直接損害の場合、民709条も適用される可能性がある。 直接損害説は、会社429条を民法の不法行為の特則であると捉え、民709条は適用されないとする。会社429条は取締役を保護する趣旨であり、その責任を軽減するための不法行為責任の特則であるとする説であり、ここでは、民法の不法行為の規定は適用されない。→不法行為特則説→民法709条の不法行為責任の要件は故意・過失であるのに対し、会社429条の要件は悪意・重過失であり、軽過失が免除されていることから、取締役等の責任を軽減する趣旨である。※取締役はいろいろなリスクに晒されていることから、責任を厳しくすると経営が萎縮して人材を集めることが困難となることから、その責任を特別に軽減したの。 この説の弱点→会社429条の任務懈怠は会社に対する任務であって、第三者に対する任務ではない。では、なぜ、取締役等の第三者に対する責任が構成されるのか?→これに対して一部の学説は、第三者を害することは会社の信用を傷つけることだから会社に対する任務懈怠といっていいはずと反論。 この説の利点→不法行為の場合は、第三者(自己)に対する直接の加害行為があったことを原告は立証しなければならないのに対し、会社429条を適用すれば、会社に対する任務懈怠があったことを立証すればよい。※第三者を害することが、なぜ会社に対する任務懈怠となるのか?→第三者を害さないように配慮することが、取締役の会社に対する任務の一部となっているのか?会社法の目的→債権者に配慮しつつ株主の利益を保護すること。→そうであるとすれば、取締役の任務も株主の利益保護だけでなく、債権者の利益も配慮することにあるのではないか?両損害包含説(判例)は、民709条と会社429条のいずれも適用されるとしている。<間接損害説への鋭い批判>→間接損害のように、まず会社に損害を与えたのであれば、第三者が債権者であれば、債権者代位権(民423条)により、第三者が株主なら株主代表訴訟により、取締役に会社に対し賠償(会社423条の会社に対する責任)をさせれば第三者の損害も回復するはずであるから、間接損害の場合には会社429条は適用されない。<間接損害説(直接損害不要説)>→直接損害は第三者に対して直接的な加害行為があった場合を想定しているものであり、まず会社に損害を与え、その結果、第三者に損害が発生したのであれば、直接の加害行為があったとはいえないから、会社429条は間接損害に限定すべきである。直接の加害行為については、民法の709条の不法行為責任規定を適用すべきであるとする説。<両損害包含説(判例)>→特別の法定責任説→会社429条の趣旨は、第三者を保護する趣旨であり、取締役等の特別の法定責任であり、民法の不法行為責任との競合も認める(請求権競合説)。 <民709条と会社429条の比較> 民709条→故意・過失、第三者(自己)に対する直接の加害行為→軽過失でも責任追及ができる 会社429条→悪意・重過失、会社に対する任務懈怠→自己に対する直接の加害行為があったことの立証は不要、取締役の悪意または重過失の対象は、第三者に対する加害でなく、会社に対する任務懈怠で足りる。(役員等の第三者に対する損害賠償責任)第四百二十九条第1項 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。※取締役等役員の会社に対する責任会会社423条→①職務を行なうについての任務懈怠、②過失責任(重過失・軽過失)、③損害の発生、④任務懈怠と損害との相当因果関係→役員等は会社に対して損害賠償責任 取締役等役員の第三者に対する責任 会社429条1項→①職務を行なうについての任務懈怠、②悪意・重過失(軽過失免除)、③損害の発生、④任務懈怠と損害との相当因果関係→役員等は第三者に対して損害賠償責任 <任務懈怠でも虚偽記載については責任を加重> →過失推定責任(役員等に過失がなかったことの立証責任を転換)2 第2項 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったこと(過失がなかったこと=無過失)を証明したときは、この限りでない。一 取締役及び執行役 次に掲げる行為イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録ハ 虚偽の登記ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録虚偽の開示(通知・計算書類・登記・公告)に関する責任開示を信頼した第三者→損害→取締役(役員等)の第三者責任 会社429条1項→悪意・重過失 会社429条2項→開示責任の厳格化→過失責任→取締役など役員等は、立証責任(反証責任)が転換された過失責任→過失推定責任。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法09(交互計算)>ラジオ収録 20201128講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)交互計算(商529条〜)平常取引関係がある当事者間で取引のつど決済するのは煩雑でリスクありそもそも決済にはリスクもありコストもかかる。交互計算→一定の期間を定めて、期末に債権と債務を相殺して、残額の債権額を確定し、一回の決済で弁済をする方法。鉄道会社間の交互計算銀行と預金者間の利息の計算にかかる交互計算<要件>商人間または商人と非商人の契約平常取引関係にあること当事者が相互に債権・債務を負担し合うこと交互計算に組み入れる債権・債務の範囲→取引で生じたすべての債権・債務期間は特に別段の定めがなければ6ヶ月<効果>消極的効果→交互計算不可分の原則→交互計算に組み入れられた個々の債権は個別に処分(譲渡・質入れ)できず(処分禁止)、商業証券の債務者が弁済をしない場合を除き、債務も除外できない。交互計算不可分の原則の第三者効→個別の債権が善意の第三者に処分された場合、交互計算の契約当事者はこの原則を第三者に主張できるか?→争いあり →判例は交互計算に組み入れられた債権に対する第三者による差し押さえを無効としている。 →学説には第三者は債権者代位権を行使して交互計算契約を解除して残債権額を確定した後に差し押さえることは可能とするものあり。積極的効果→交互計算期間の満了により債権債務の総額について一括相殺がなされると残額債権に更改され、それについて計算書類が作成され、承認されればその残額債権額は確定するが、その承認をしたときは、計算書の記載に錯誤または脱漏がない限り、異議を述べることができなくなること。交互計算の終了→契約の一般的な終了原因に加え、商法は、各当事者がいつでも解除できる、解除告知権を認めている。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法22(株主代表訴訟・多重代表訴訟とその他の責任追及手段)>ラジオ収録20201128取締役その他の役員等による任務懈怠責任→会社に損害→会社に損害賠償請求権会社の代表者→代表取締役会社と取締役間の訴え→監査役が代表提訴懈怠株主→提訴請求→60日以内に会社が訴えを定期しないとき→株主代表訴訟(会社847条3項)会社→不提訴理由書の通知訴訟手数料→訴訟手数料は13000円濫訴の問題→担保提供馴れ合い訴訟→共同訴訟参加和解→監査役全員の同意被告取締役が気の毒な場合→会社による補助参加(監査役全員の同意)多重代表訴訟(特定責任追及の訴え)親から子への上から下への監督完全親会社の議決権・発行済株式のⅰ%以上の株式を6ヶ月前から保有する株主は、重要な子会社の発起人・役員等に対して、特定責任追及の訴え(多重代表訴訟)を提起できる。重要な子会社→最終完全親会社等とその完全子会社等における当該株式会社の株式の帳簿価額が、当該最終完全親会社等の総資産額の5分の1を超える場合の完全子会社等最終完全親会社等→その会社の完全親会社等であって、その完全親会社等がないものその他の責任追及手段 株主による差止請求権→1株以上、6ヶ月前から保有→その行為によって「著しい損害」が生ずるおそれがあるとき→監査機構がある場合→「回復することができない損害」→要件の厳格化 検査役の選任請求権→議決権・発行済株式の3%以上を保有する株主→会社の業務・財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役の選任の申立てをすることができる。 役員解任の訴え→議決権または発行済株式の3%以上を6ヶ月前から保有する株主→役員に法令・定款に違反する重大な事実があったにも関わらず、その役員の解任議案が株主総会で否決されたときなど→総会の日から30日以内に解任の訴えを請求できる。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門23(宗教の自由・政教分離)>ラジオ収録20201128講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)信教(宗教)の自由(憲20条)基本的人権の中の自由権の中の精神の自由の一つ政教分離憲20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。③ 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。 →憲20条1項後段→「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」 →憲20条3項→「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」 →憲89条→「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」 政教分離原則→国民の具体的権利を保障するものではなく、単に、国家と宗教が分離すべきことを定めたにすぎない。→国家が政教分離原則に反する行為をしたからといって、直ちに裁判所に救済を求めることができるというわけではない。しかし、これによって個人の自由が侵害された場合は信教の自由の侵害として裁判所に救済を求めることができる。 <判例> 政教分離原則の規定→「国家と宗教との完全な分離を理想とし、国家の非宗教ないし宗教的中立性を確保しようとしたもの」→「完全な分離を実現することは実際上不可能に近い」→国家と宗教がある程度かかわり合いを持つことはやむを得ない。→「宗教との関わり合いをもたらす行為の目的および効果に鑑み」、日本の社会的・文化的諸条件に照らし、「相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さない。」→目的効果基準(最大判昭52・7・13民集31・4・533) →相当とされる限度を超える国家の宗教活動とは、その目的に宗教的意義があり、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるような行為→その典型は、宗教教育のような宗教の布教、教化、宣伝や玉串料の奉納のような宗教上の祝典、儀式、行事である(最大判平9・4・2民集51・4・1673)。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門22(プライバシーの権利)>ラジオ収録20201122講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者jialin(大学院博士課程)プライバシーの権利プライバシーの権利→人格権、幸福追求権(憲13条)の一つ表現の自由(憲21条)との関係表現の自由=知る権利プライバシーの権利=知られたくない権利→国の義務→立法による施策→個人情報保護法プライバシー権が問題になる場面の類型 ①私生活への侵入行為 ②私事を他人に公開する表現行為 ③他人に誤認を生じさせる表現行為 ④氏名、肖像などの営利的使用当初→一人にしてもらう権利、私生活において干渉されない権利最近→私的生活領域における自己決定権も含む広い概念→自己に関する情報をコントロールする権利【判例】 「宴のあと(三島由紀夫著)」事件((最判昭39・9・28下民集15・9・2317)※ 日本で初めてプライバシー権が認められた。 特定政治家の私生活をテーマ→プライバシーの侵害→侵害の差し止め、不法行為に基づく損害賠償請求(精神的慰謝料)、謝罪広告 →(侵害された人格権の回復)→三島側敗訴 判旨→いわゆるプライバシー権は、私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利として理解されるから、その侵害に対しては侵害行為の差し止めや精神的苦痛による損害賠償請求権が認められるべきである。 <これらの救済が与えられる要件> ① 私生活上の事実または事実らしく受け止められるおそれのあることがらであること。 ② 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められることがらであること。 ③ 一般の人々にいまだ知られていないことがらであること。個人情報保護法 「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」(1988年) →国の行政機関によるコンピュータ処理に係る個人情報の保有・利用の限度を定め、何人も行政機関に対して自己情報の開示請求及び訂正等の申し立てを可能とする法律。 「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)(2003年) 民間部門における個人情報保護規定を含む※ 表現の自由とプライバシーの権利は微妙なバランスの上に立っている。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法08(商事売買2 買主の目的物検査通知義務・目的物保管供託義務)>ラジオ収録 20201122商事売買の特則(2)<買主の目的物検査通知義務>商事売買(商人間B2Bの売買)→ 売主保護売買契約(民555条)(C2C,B2C,B2B)売主の義務→目的物引渡義務 売主の権利→代金支払請求権買主の義務→代金支払義務 買主の権利→目的物引渡請求権契約不適合→不完全履行→債務不履行の一部→売主の担保責任(C2C,B2C)、損害賠償責任(C2C,B2C,B2B)、契約の解除(C2C,B2C,B2B) 民562条→引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して、契約の内容に適合しないもの(不完全履行)であるときは、買主は、売主に対し、追完請求(目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡し)によをすることができる(追完請求権)。 民563条→1項→相当の期間を定めて追完請求の催告をした後に、履行の追完がない場合→代金減額請求権 →2項→追完不能、追完拒否、定期行為、追完見込みがない場合→催告なしに直ちに代金減額請求 (代金減額請求権) ※追完請求できない場合または追完請求しても仕方がない場合→追完不能→修理ができない、交換しようにも、不足分を補うにも代替物がない。追完拒否。定期行為(ある特定の日時、一定の期間に履行がなされなければ契約の目的を達成できない場合)。債務者に追完する意思がない。 民564条→損害賠償請求権(民415条)(債務不履行一般の損害賠償に関する規定) →過失責任(故意・過失・信義則上、これと同視しうる事由) 損害賠償の範囲→通常損害、予見可能な特別損害(民416条) →契約の解除権(民541条、542条)(債務不履行一般の契約解除に関する規定) →催告による解除(民541条)→相当の期間を定めて催告→履行なし→解除権の行使(一方的な意思表示(単独行為)→相手方の承諾は不要) 催告によらない解除(民542条)→催告しても仕方がない場合。→全部履行不能、全部履行拒絶、一部履行不能・一部履行拒絶、定期行為、履行の見込みなし 民566条→担保責任の期間制限→買主が契約不適合を知った時から1年以内にその旨通知しなければ、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除をすることができない。 商事売買(商人間B2Bの売買)商526条1項→商人間の売買において、買主はその売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない(買主の目的物検査義務)。商法526条2項前段→買主が1項の検査により、目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合していないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨通知を発しなければ、追完請求、代金減額請求、損害賠償の請求および契約の解除をすることができない(買主の通知義務)。商526条2項後段→売買の目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見できない場合、買主が6ヶ月以内にその不適合を発見したときもその旨の通知を発しなければならならず、通知をしなければ、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができない。 ※商事売買では、契約不適合の通知は直ちに、直ちに発見できない場合は発見した時から6ヶ月。 民事売買では、契約不適合の通知はそれを知った時から1年。 売主が担保責任を負う期間は、民事売買より商事売買の方が短い。→商事売買の場合、売主は長期に担保責任を負わされないことから、法律関係が早期確定することによって、売主は保護されている。<買主の目的物保管・供託義務>商人間の売買(B2B)→売主保護契約不適合(種類・品質・数量に関して)があった場合→解除民法545条→契約を解除するとどうなるか?→解除の効果→各当事者は現状回復義務を負う。 現状回復とは?→契約前の状態に戻す。たとえば、売買契約後、代金をすでに払っていたら、それを払い戻しをしてもらい、また、目的物をすでに引き渡していたら、それを売主に戻す義務。商527条1項本文→買主は契約の解除をした場合であっても、(現状回復をするのではなく)、売主の費用で、売買の目的物を保管し、または供託しなければならない。(目的物の保管・供託義務) ※売主にとっては、商品を送り返してもらう運送費用を負担するより、しばらくそれを保管・供託してもらい、その間、別の買主を探した方が有利(運送費用の削減)な場合もあることから、この規定は、売主の便宜を図ったもの→売主保護商527条1項ただし書→その物について滅失、損傷のおそれがある場合、裁判所の許可を得て競売し、かつ、その代価を保管し、または供託しなければならない。→裁判所(売買の目的物の所在地を管轄する裁判所)(同条2項)の許可→競売→買主は売主に遅滞なく通知を発する義務(同条3項)商527条4項→売主と買主の営業所が同一市町村内にある場合には、買主の目的物保管供託義務の規定は適用しない。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法21(競業取引・利益相反取引)>ラジオ収録20201122講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)広義の利益相反取引=競業取引と狭義の利益相反取引会社356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。一 1項1号(競業取引) 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。(競業取引)→会社と競争してはダメ。→取締役はなんでこんなことができるのか?→会社の機密情報(ex.製品情報、ノウハウ、顧客情報(販売ルート)、仕入れルート(よりいい物をより安く)を知っているがゆえにそれを利用して自己または第三者の利益を図り、会社に損害を与えるおそれがあるから。二 1項2号(利益相反取引の直接取引) 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。(狭義の利益相反取引(自己取引)の直接取引)→取締役が、①自分の安い物を会社に公正な価格よりも高く売りつける、②会社の高い物を安く買う。取締役はなんでこんなことができるのか?→自分が自分と取引できるから(自己取引)。つまり、取締役は取引の両側に立つことができるから。 会社 ← 売買契約(取引) → 取締役(個人) (取締役(代表)) 双方代理・自己契約→「あちらを立てれば、こちらが立たず」→会社の利益を犠牲にして、個人の利益を優先しがち→構造的な利益相反三 1項3号(利益相反取引の間接取引) 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。(狭義の利益相反取引の間接取引) →会社に第三者と取引をさせる→間接取引 会社 ←ーーー保証契約(取引)ーーー→ 第三者 (取締役(代表) (保証人) ↓ ↓借金 ↓ 取締役(個人)会社365条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。2 取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。<<競業取引>>パンの製造販売会社X社の取締役Y→X社の機密情報を知りうる立場→①レシピ(材料の情報を含めた美味しく作る方法=秘訣・ノウハウ)、②仕入れルート(安くて品質のよいもの=コスパのいいもの)、③販売ルート(顧客名簿を含む)→この機密情報を不正流用して、自分で同業の行為を行うとどうなる?→X社の売上げ、利益が減る可能性あり→競業の規制「自己または第三者のために」→自己または第三者の「名で」?→法律効果の帰属 →自己または第三者の「計算で」(通説)→経済効果の帰属「事業の部類に属する取引」→会社が現に行なっている事業に限られず、近い将来に行う予定のある事業も含む(東京地判昭56・3・26判時1015・27) ※ 事業機会の奪取 との関係 → 忠実義務違反承認手続 取締役会非設置会社→取引に関する重要な事実を株主総会に開示→株主総会の承認 取締役会設置会社→取引に関する重要な事実を取締役会に開示→取締役会の承認違反の効果 会社に対する損害賠償責任(会社423条1項)→任務懈怠責任 競業規制違反によって得た利益→会社の損害と推定(会社423条2項) →損害額の立証が困難だから(競業規制違反のペナルティー) 取締役会に重要事実を開示し、その承認を受けた場合でも、任務懈怠があれば損害賠償を免れない→この場合の任務懈怠は忠実義務違反(承認を受けていない、ノウハウの流用、仕入先・顧客情報の流用等があった場合)競業取引に類する行為 従業員の引き抜き→それ自体は競業取引ではない→忠実義務違反(東京高判平元・10・26金判835・23) 営業機会の奪取→忠実義務違反<<利益相反取引(直接取引と間接取引)>>会社356条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。1 1号 競業取引2 2号 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。(直接取引)3 3号 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。(間接取引)狭義の利益相反取引→取締役と会社の利益が対立するそれらの取引→取締役が取引の両側に立つ→取締役に有利で会社に不利な条件での取引の可能性→構造的な利益相反<直接取引> →取締役が会社の財産を安く譲り受けたり、自己の財産を会社に高く売りつけたり、会社から金銭の貸付を受けたりするような取引 「自己または第三者のために」→「自己または第三者の名で」(名義説)→「自己または第三者の計算で」(計算説)←会社428条の解釈から計算説が妥当会社428条 第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引(自己のためにした取引に限る。)をした取締役又は執行役の第四百二十三条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該取締役又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。→自己のために直接自己取引をした場合→無過失責任2 前三条の規定は、前項の責任については、適用しない。直接取引の該当要件→「取締役が会社と取引する」① 取締役個人が会社と取引する場合② 取締役が相手方を代理・代表して会社と取引する場合③ 取締役が相手方の株式を100%保有している場合のように相手方を取締役と同視できる場合→支配の割合の緩和→間接取引の構成<間接取引> →会社と第三者との間の取引であって、取締役に有利で会社に不利な取引 →取締役個人の債務につき会社が債務引受け、保証、連帯保証を行う行為等。承認手続 →利益相反取締役→取引に関する事実を開示→承認を受けなければならない →取締役会非設置会社→株主総会 →取締役会設置会社→取締役会承認を受けない取引の効力 →原則無効→取引の安全→善意の第三者を保護する必要→会社は第三者の悪意(取締役会の承認がないことを知っていたこと)を主張・立証して初めてその無効を第三者に主張しうる(相対無効説)。悪意に重過失も含まれると解せられる。 利益相反取引と取締役の責任 任務懈怠責任の特則 利益相反取引(直接取引・間接取引)→会社に損害→それに関与した取締役に任務懈怠があったと推定(会社423条3項)←この場合、取締役会の承認を得たかどうかは問わない 任務懈怠が推定される者① 利益相反取締役② 取引を決定した取締役③ 取締役会の承認決議に賛成した取締役取締役会の承認を受けていた場合→①②の取締役が利益相反行為を行なったこと取締役会の承認を受けていなかった場合 →①②の取締役が利益相反取引を行なっていたことに加え、その承認を受けなかったこと自体が法令違反として任務懈怠責任を問われる。取締役会の承認決議に賛成した取締役→①②の取締役の任務懈怠について監視義務違反を問われる。 各取締役→任務懈怠について責めに帰すべき事由(過失)がないことを証明すれば免責。 →しかし→自己のために直接取引を行なった取締役→無過失責任(会社428条1項) 任務懈怠と過失の関係会社423条 第十一節 役員等の損害賠償責任(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったとき(任務懈怠→会社に主張立証責任)は、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。2 2項 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。(競業取引)3 3項 第三百五十六条第一項第二号(直接取引)又は第三号(間接取引)(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。→任務懈怠がなかったことを立証すれば免責されるのか?一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。 会社428条第四百二十八条 第三百五十六条第一項第二号(直接取引)(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引(自己のためにした取引に限る。)をした取締役又は執行役の第四百二十三条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該取締役又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない(無過失責任)。2 前三条の規定は、前項の責任については、適用しない。 任務懈怠と過失の関係 会社法428条1項によって無過失責任を負う取締役(自己のために直接取引をした取締役)は、会社法423条3項の反対解釈により、任務懈怠がなかったことを立証すれば責任を免れるのか? 通説→任務懈怠と過失を同視して、無過失の立証が認められていない取締役には任務懈怠の反証も認められない。 有力説→利益相反取引→公正な条件で取引を行わなかったことが任務懈怠→不公正な条件での取引を防止するという注意義務の違反が過失→自己のために直接取引を行なった取締役も取引条件が公正であったことを立証すれば、任務懈怠がなかったことになり、責任を免れる。 損害額 任務懈怠と損害との間の相当因果関係が必要 取締役会の承認を受けずに利益相反を行なった取締役→もし取締役会にかけていれば承認が得られていたであろう場合→取締役会の承認を受けなかったという法令違反と損害との因果関係は否定。 →でも、利益相反取引を行なったという任務懈怠と損害との因果関係は否定されない。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門21(人権思想の系譜)>ラジオ収録20201115講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) 福留邦浩(国際関係学者) jialin(大学院博士課程)<人権思想>マグナカルタ(1215年)→大憲章(「自由の大憲章」)←ハーバード・ロースクール図書館でその原書を見たことがある。https://today.law.harvard.edu/hls-scholar-explores-the-complicated-legacy-of-the-magna-carta/https://etseq.law.harvard.edu/2015/04/852-rare-medieval-manuscripts-online-magna-carta-more/https://exhibits.law.harvard.edu/one-text-sixteen-manuscripts権利請願(1628年)→イギリス議会が国王に対して出した請願人権保護法(1679年)→イギリス議会が制定した逮捕状なしの拘束の禁止等権利章典(1689年)→国王の存在を前提として、国王に忠誠を誓う議会および国民 のみが享受できる権利と自由を定めた法律ロック・ルソー→近代的人権宣言→自然権論・社会契約論ジョン・ロック(1632年〜1704年)→イギリスの哲学者(自由主義の父)→イギリス名誉革命(1688年)→アメリカ独立宣言・フランス人権宣言 人間は本来、理性的な存在で自然状態も比較的平和な状態。自分の権利をより確実なものにするため、社会契約を行なって権利の一部を政府に委ねる必要があるが、国家が市民の意志に反した場合は、抵抗して委ねた権利を取り戻すことができる。→民主主義の原理デカルト→生まれながらにしてボンサンス(理性の働き)をもっていいる(大陸合理論)。→経験論者(ロック)→いやいやそうではない。デカルトに刺激を受けた。 「経験論」→一切の認識は知覚経験に基づいて形成される→バークリー→ヒューム 「社会契約論」→自由で平等な人間が社会契約を結ぶ→民主主義の基礎 ※ホッブス・リバイアサンとの対比 「教育論」→子供の教育は経験的な訓練から始めるべき→知識・規則で縛るのではなく習慣の形成・家庭教育が大事 『人間知性論』→経験論の立場から人間の知性のあり方と限界を考察 『統治二論(市民政府二論)』→①王権神授説(絶対王政の時代、王権は神から授けられた神聖絶対なるものであり、王は神に対してのみ責任を負い、神以外の誰も対抗できない)の否定、②社会契約こそが政治権力の起源→自由主義の思想→アメリカ独立宣言、フランス人権宣言 →財産権の保障、民法の所有権絶対法法則。ジャック・ルソー(1712年〜1778年)→啓蒙思想家→民主主義(人民主権と公共の福祉→近代デモクラシーの父)、個人主義、近代教育思想(近代教育の父) 「人間は生れながらにして自由であるが、しかしいたる所で鉄鎖に繋がれている。」←妄想? 自然状態は自由・平等で理想的状態であるが、私有財産による文明の発達が不平等を招いたので、人民は欲望を抑えて公共の福祉のために社会をつくりなおすことが必要。←民主主義と全体主義は紙一重? 『学問芸術論」→学問芸術は一握りの天才がするもの。凡人にとっては腐敗、堕落をもたらすもの?←私のような凡人にも機会を与えてもらっていることにむしろ感謝したい。 『人間不平等起源論』→私有財産による文明の発達が社会の不平等を招いた?←だから人生やる気が出るんじゃないのかな?見えざる手。利己心と虚栄心に基づく自己利益の追求が結局は社会全体の利益をもたらすはず。自然調和。 『社会契約論』→個人相互の約束が社会の基礎→人民を主権者とする国家の成立→近代政治思想の基礎←直接民主制?ム、ムリ。 『エミール』→孤児エミールの誕生から成長の過程を考察。人間の本源的善性をいかに守るか?「人間でも動物でもない、まさに子供だ」→子供の発見者。知育教育よりは人間教育、体育、品性の陶冶を重視。←品性ってなに?生まれながらにして有する一定の権利・自由バージニア権利章典(1776年)フランス人権宣言(1789年)初期→国家からの自由が中心→自由権→国に「放っておいてもらう」権利資本主義の進展→貧富の格差ドイツ・ワイマール憲法(1919)→社会権→国に「構ってもらう」権利日本国憲法→平等権、自由権、参政権、受益権(国務請求権)、社会権基本的人権の保障→裁判所による違憲審査権→国会による立法、行政行為(法の執行)→実際には、憲法判断回避の準則→具体的な訴訟の解決に必要な場合だけ憲法判断をし、それ以外はその判断を避ける。違憲審査に対する消極性憲法の私人間効力 →憲法は国家と私人との間の関係を規律している(憲法は国家を縛るもの)→本来、私人間とは関係なく、それには適用されないはず。→でも、人権侵害は、私人間でも起こりうる。→どのような理論で私人間に憲法を適用すべきか? ①無適用説 ②直接適用説 ③間接適用説(通説)→私法の一般条項(民法90条→公序良俗→公の秩序、善良な風俗に反する法律行為は無効)に憲法の趣旨を取り込んで解釈・適用。→三菱樹脂事件<三菱樹脂事件の概要> 被上告人(原審高裁で勝訴し最高裁に訴えられた人)は大学時代に学生運動の積極的な活動家であったが、民間企業への就職採用試験では、「学生運動はしたことがないし、興味もなかった」旨を身上書に虚偽の記載、秘匿をし、面接でも虚偽の回答をしていた。採用後、それが発覚し解雇された。 原判決は、試用期間を3か月とする雇用契約の性質について、被上告人が管理職要員として不適格であると認めたときはそれだけの理由で雇用を解約しうるという解約留保の特約のある雇用契約と認定し、この権利の行使は、雇入れ後における解雇にあたると解したうえ、解雇理由としての政治的思想、信条は、憲法19条の保障する思想、信条の自由をその意に反してみだりに侵すことは許されず、これによって雇用関係上差別することは憲法14条、労働基準法3条に違反するものであるから公序良俗に反して許されず、応募者がこれにつき秘匿等をしたとしてもこれによる不利益をその者に課することはできないとし、本件本採用の拒否を無効とした。 これに対して最高裁は原判決が法令の解釈、適用を誤ったものとして、原判決を破棄し、差し戻した。最高裁は、まず、思想、信条の自由、法の下の平等にかかる憲法上の規定は、他の自由権的基本権の保障規定と同様に、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではないと判示した。そして、私人間の関係においては、各人の有する自由と平等の権利自体が具体的場合に相互に矛盾、対立する可能性があり、その対立の調整は近代自由社会においては原則として私的自治に委ねられ、ただ、一方の他方に対する侵害の態様、程度が社会的に許容しうる一定の限界を超える場合にのみ、法がこれに介入しその間の調整をはかるという建前がとられているのであって、憲法上の基本権保障規定をそのまま私人相互間の関係についても適用ないしは類推適用すべきものとすることは決して当をえた解釈ということはできないという。さらに、私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるときは、これに対する立法措置によってその是正を図ることが可能であるし、また、場合によっては、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、一面で私的自治の原則を尊重しながら、多面で社会的許容性の限界を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存するのであるとする。そのうえで最高裁は、憲法は、思想、信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に、22条、29条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由をも基本的人権として保障しているため、企業者はかような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえんをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。(本判決の意義) 要するに、憲法の人権規定は国家と個人を規律するものであるから、私人間に直接それを適用することはできず、私的自治において行き過ぎがあれば、立法で対処するか、民法の一般原則である権利濫用の無効、公序良俗の無効、不法行為の損害賠償の規定の適切な運用で調整を図るべき、と判示した。その意味で、最高裁は憲法規定の私人間への間接適用に含みをもたせた。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法20(取締役の義務)>ラジオ収録20201114講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)<取締役の義務>1 取締役の一般的義務 (1) 取締役と会社の関係 会社法330条→委任に関する規定に従う (2) 取締役の善管注意義務 受任者(取締役)→善管注意義務(民644条) 善管注意義務の水準 →同様な地位・状況にある者に対して一般に期待される水準と解される。 →業種によって異なるのか? 金融機関の取締役 →破綻した銀行の取締役が行なった融資判断について善管注意義務違反・忠実義務違反を認めた判例→「銀行の取締役に一般的に期待される水準に照らし、著しく不合理」(最判平20・1・28判時1997・148) →「融資業務に際して要求される銀行の取締役の注意義務の程度は一般の株式会社取締役の場合に比べ高い水準のものであると解され、…経営判断の原則が適用される余地は…限定的なものにとどまる」(最決平21・11・9刑集63・9・1117) (3) 取締役の忠実義務 会社法355条→取締役は法令および定款ならびに株主総会の決議を遵守し、 株式会社のため忠実にその職務を行なわなければならない。 ※ここで「法令」とは→会社・株主の利益保護規定だけでなく、会社が事業を行なう際に 遵守すべきすべての法令が含まれる(最判平12・7・7民集54・6・1767) (4) 善管注意義務と忠実義務との関係 異質説→忠実義務は取締役が会社の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図っ てはならない義務 同質説→忠実義務は善管注意義務を敷衍し、一層明確にしたものにとどまり、善管注意義務とは別個の高度な義務を規定したものと解することはできない(最判昭45・6・24民集24・6・625) (5) 経営判断の原則→取締役に一定の場合に幅広い裁量を認める原則 ビジネスにリスクはつきもの→よかれと思って経営しても失敗することもあり→結果的に失敗したからといって、常に善管注意義務違反に基づき損害賠償を請求されれば経営は萎縮する。→経営者としての人材が集まらなくなる。 日本版経営判断の原則(東京地判平14・7・18判時1794・131) ①経営判断の前提となった事実の認識(情報の収集・分析・検討)に不合理な誤りがないこと ②その事実に基づく意思決定の過程・内容が明らかに不合理でないこと →裁量権の範囲を逸脱した違法はない→裁判所は取締役の経営判断に事後的に介入しない 判例→「決定の過程、内容に著しく不合理な点がない限り、取締役としての善管注意義務に違反するものではないと解すべきである」(最判平22・7・15判時2091・90) 経営判断原則の適用要件 ①取締役に自己または第三者の利益を図るような忠実義務違反がないこと ②法令定款違反が存在しないこと ③取締役が経営判断に際して、十分な情報を得て、熟慮検討していること2 取締役の具体的な義務 (1) 監視義務 判例上の義務→「取締役は善管注意義務の一内容として、代表権の有無にかかわらず、他の取締役の行為が法令・定款を遵守し、適法かつ適正になされていることを監視する義務(監視義務)を負う」「(最判昭48・5・22民集27・5・655) 他の取締役の違法行為の可能性のある事実を知った場合にどこまで行動する義務があるか? 取締役会で報告 株主総会で報告 弁護士への相談 信頼の原則→特に疑うべき事情がない限り、他の取締役・使用人等からの情報についてそれを信頼することが認められる→内部統制システムが機能していることを条件に免責? (2) 内部統制システム構築義務 内部統制システム→善管注意義務の一内容として、ある程度以上の規模の代表取締役には、会社の損害を防止するために、その事業規模・特性に応じた内部統制システムを整備する義務が存在すると解されてきた(大阪地判平12・9・20判時1721・3)。 平成26年会社法改正 すべての大会社→その機関構成に応じて、会社の業務の適正を確保するために必要な体制について決定しなければならない(会社348条4項、362条5項、416条2項) 大会社の取締役会設置会社→「取締役会の専決事項→取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務ならびに当該株式会社およびその子会社からなる企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」「(会社362条4項6号)→グループ内内部統制システムの整備義務 法務省令(業務の適正を確保するための体制) 取締役の職務の執行に係る情報の保存・管理に関する体制(会規100条1項1号) 損失の危険の管理に関する規程その他の体制(同項2号) 取締役の職務の執行が効率的に行なわれることを確保するための体制(同項3号) 使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制(同項4号) 当該会社・親会社・子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制(同項5号) 監査役による監査が実効的に行なわれることを確保するための体制(同条3項)(3) 内部統制システムの開示 内部統制システムに関する決定の概要 当該体制の運用状況 →事業報告に記載することによって開示(会社435条2項、会規117条1号、118条2号) →それらの相当性→監査役による監査対象(会規則129条1項5号)※内部統制システム構築には終わりがない 不正行為の手口は巧妙化の一途→それに応じて進化させるべき 過去に認められた体制がいつまでも妥当するとは限らない
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門20(財政と法)>ラジオ収録20201108講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)財政と法2020年度当初予算 財務省ホームページ参照(https://www.mof.go.jp/zaisei/current-situation/index.html) 一般会計歳出102.7兆円 内訳 社会保障費39.4% (年金、医療、介護、子供、子育て等のための支出) 国債費22.7%(国の借金の元本の返済とその利息の支払い) 地方交付税交付金15.4%(国が地方公共団体に配分する経費) 公共事業6.7% 文教・科学振興5.5% 防衛5.2% その他9.7% 一般会計歳入102.7兆円 内訳 公債金31.7%(国債等を発行して得たお金)←税収等の不足分を補填 所得税19% 法人税11.8% その他税収9.9% その他収入6.4%財政民主主義 →財政の処理を国会の議決を通じて国民のコントロール下に置くこと 「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいてこれを行使しなければならない」(憲83条)租税 →国家が課税権に基づいて徴収する金銭給付 租税法律主義→租税の賦課・徴収は、必ず法律の根拠に基づいて行われなければならないこと。 「あらたに租税を課し、または現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とする」(憲84条)予算(Budget) →国がどのような用途にいくら支出するかを予定的に計算したもの 予算の内訳 →本予算(当初予算) 補正予算(国の義務に属する経費の不足を補ったり、あらたな事由に基づき内容に変更を加えるもの) 暫定予算(本予算が新会計年度の開始前に成立しない場合に必要に応じて暫定的に定めるもの) 歳入予算 歳出予算→支出の目的・金額・時期、費目について政府を拘束 予算審議 衆議院に先議権 衆議院で可決、参議院で否決、または参議院が衆議院の可決から30日以内に議決しない場合→衆議院の議決を国会の議決とする(衆議院の優越)(憲60条)国会の予算修正権 減額修正(無制限) 増額修正(あらたな項目を追加したり、金額を増加すること)(制限あり)決算 →毎会計年度の出納(すいとう=支出と収入)完結後に、歳入歳出の実績を予算と対比して作成される確定的計数(数値)のこと 「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院が検査し、内閣は、次の年度にその検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」(憲90条)
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法07(売主の供託権・競売権、商人間の確定期売買(定期売買))>ラジオ収録 20201108講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)商事売買の特則(商人間の売買(B2B))→売主保護 →①売主の供託権・競売権 ②確定期売買(定期売買) ③買主の目的物の検査・通知義務 ④買主の目的物の保管・供託義務売主による供託権・競売権履行遅滞(債務不履行) 民415条→債務の本旨に従った履行をしないとき(履行遅滞・不完全履行)、債務の履行が不能(履行不能)であるとき→損害賠償→ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときはこの限りでない。「責めに帰する」とは必ずしも債務者の過失を意味するものではない。→債権者は債務者の債務不履行の事実を立証すれば足り、免責事由については債務者側に立証責任。損害賠償の範囲 民416条→通常損害、予見可能な特別損害債務不履行の場合の催告による解除 民541条→債務不履行→相当の期間を定めて催告→相手方は解除 民542条→催告によらない解除受領遅滞 そもそも買主(目的物の引渡請求権者)には受領義務がある?→NO売買契約の法律効果→売主の代金請求権・目的物引渡義務買主の目的物引渡請求権・代金支払義務 民494条→売買契約の目的物を買主が受領を拒絶した場合か、受領不能の場合→弁済者は弁済の目的物の供託が可→供託後は、債権が消滅→弁済者にとっては債務が消滅。。 弁済→債務の履行→売買契約における債務とは売主の債務→目的物の引渡債務買主の債務→代金の支払債務 受領遅滞→債務者にとって弁済しようにもできない。→供託すれば弁済したことになる。供託に適しない場合 民497条→①供託に適しない場合、②滅失、損傷、価格低落のおそれのある場合、③物の保存について過分の費用のかかる場合、④その他、供託が困難な場合→裁判所の許可を得て、競売し、競売代金を供託。 民法上は、供託に適しない場合でも、裁判所の許可を得なければ競売できない。→民法は供託が原則で、競売は例外。商事売買(商人間の売買)の売主の供託権・競売権(商行為の迅速性に配慮) 商524条1項→買主の受領遅滞→売主は供託が可、または、相当の期間を定めて催告した後に競売可。供託または競売後は、売主は買主に対して、遅滞なく通知する義務。 商法上は、供託の適不適にかかわらず、相当の期間を定めて催告すれば競売できる。 商524条2項→損傷その他の事由による価格低落のおそれがある物→催告をしないで競売に付することが可。 商法上は、価格低落のおそれがある場合、催告なしに競売できる。 商524条3項→売主の競売代価の供託義務→ただし、代価の全部または一部を代金に充当してもよい。 商法上の売主の自助売却権→競売代価からの代金への充当可→売主にとって、売買代金の回収可→ 売主保護確定期売買(定期売買)履行遅滞の解除 民541条→催告による解除(相当の期間を定めて催告→解除) 民542条→催告によらない解除→1項4号→特定の日時または一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合(定期売買=そのときしか売れないような商品の仕入れ)→たとえば、Xmasケーキは12月24日がよく売れるがそれを過ぎたら売れない。→債務者に履行遅滞→債権者(相手方)は催告をすることなく、直ちに契約の解除可。 民法上は、催告なしに解除できる。解除=解除の意思表示(解除権の行使)商人間の定期売買 商525条→特定の日時または一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合→債務者に履行遅滞→相手方は直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。 商法上は、解除の意思表示(解除権の行使)をしなくても解除される。解除の擬制 これは商人間の商行為の迅速性に配慮し、売主保護。 なぜ、売主保護なのか?→買主は、民法上は解除権の行使・不行使の選択肢により投機ができるが、商法上は解除が擬制されるので買主は投機ができず、それによって売主が保護される。ここで、投機とは? →売主が決められた日に商品を届けない(債務不履行)→契約時よりもその商品の値段が値上がりしていた→買主はしない→契約時よりもその商品の値段が値下がりしていた→買主は解除する
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法06(流質契約、商事留置権、寄託を受けた商人の責任)>ラジオ収録 20201031講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者) Jialin(大学院博士課程) 流質契約 質権→その債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利(民342条)たとえば、お金を借りたいときに、自分の100万円の時計を貸主に預け、弁済時にその時計を返してもらう。 →借主は債務者(借金の返済義務)、貸主は債権者(貸金返還請求権) 貸主はその債権の回収をより確実にするために担保をとる。 この場合の担保は契約による担保であり、約定担保。 債務者が自己の腕時計に質権を設定 債務者は債権者に対してその質権を譲渡する。→以後、債権者はその質物を占有。 弁済期が到来→弁済がなされない →債権者(この場合、質権者でもある)は他の債権者に先立って、自己の債権の弁済を受ける。 →質権の実行 質物→動産、不動産、債権 質権と抵当権の違いは? → 質権は債務者が債権者に物の占有を移転し、以後、債権者がそれを占有する。 抵当権は、債務者は債権者に物の占有を移転せず、債務者がそれを占有し続ける。 →住宅ローンの場合、債権者である銀行は、債務者が購入した不動産を占有せず、債務者がそこに住み続けることができる。 <質権の実行は競売によらねばならない>民執87条1項4号→売却代金の配当を受けるべき債権者→質権の売却により消滅するものを有する債権者民執133条→質権を有するものはその権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる。不動産質の場合→民執180条→不動産(登記できない土地の定着物を除く不動産)の担保権(質権)の実行方法→①担保不動産競売の方法、②担保不動産収益執行(民執189条) 動産質の場合→動産競売(民執190条〜194条) →簡易な方法→裁判所に請求して、鑑定人の評価によって質物を直ちに弁済に充当する換価方法(民354条) 債権質の場合→質入債権の利息や債権そのものの取立てによる弁済充当(民366条) 流質契約→設定行為または債務の弁済期前の契約において、弁済期が到来したにもかかわらず弁済がなされない場合、質物の所有権を債権者に取得させ、その他、法律に定める方法(競売・鑑定人による評価等)によらないで、質物を処分させることを約すること。 民法349条→ 流質契約の禁止 →当該契約は無効 なぜか?→債務者の窮状につけ込んで、債権者が暴利を貪る(価値の丸取り)ことを防止するため。 商法515条→ 民法349条の規定は商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については適用しない→流質契約の許容 なぜか?→商人は冷静に利害計算をする能力があり、また、金融の道が閉ざされないようにするため。→ただし、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権について→当事者の属性については何も規定がないが、債務者にとって商行為のときだけについて、商法515条を適用すべきでは?→なぜなら、貸金業者(商人)が非商人(債務者)にお金を貸す際に、流質契約を結ばされたら、債務者にとってあまりにも不利であるから。 質権は約定担保(当事者の契約で質権を設定し、それを債権者に移転)留置権は法定担保(法律上当然に発生する権利) 商事留置権 →広義の商事留置権、狭義の商事留置権 民事留置権民法 第七章 留置権(留置権の内容)→時計の修理の場合に条文を置き換えてみる。民295条 他人の物(債務者の所有物でなくてもよい=第三者の物でよい)の占有者は、その物に関して生じた債権(その修理した時計に関して生じた修理代請求権)を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。 →たとえば、時計を修理してもらうとする。→修理の依頼人(債務者)が時計を修理人に渡す。→修理代10000円とする。→弁済期は修理完了時→修理人(修理代請求債権者)は弁済期到来後に修理代を払ってもらえない。→債務者が修理代を支払うまでは、債権者(他人の物の占有者)はこの修理した時計を返さなくてよい(留置権=留め置く権利)。 修理した時計と修理代請求権(被担保債権)には個別的牽連関係(その物に関して生じた債権)が必要 →時計修理の依頼人が修理人に別途預けていた自転車を留置できるか?→No→時計の修理と自転車はなんらの関係もないから ※牽連(けんれん)とは、連なり続くこと、ある関係で繋がっていること <民事留置権のポイント>① 個別的牽連関係が必要←範囲を縮小 たとえば、時計の修理代請求権と個別的牽連関係のある留置物→その修理した時計→この場合、修理した時計しか留置できない。② 留置物は他人(第三者)の所有物でもよく、債務者の所有物に限らない←範囲を拡大 商人間の留置権(狭義の商事留置権) →その双方のために商行為となる行為によって生じた債権(被担保債権)が弁済期にあるとき→当事者の別段の意思表示があるときを除き、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有(民事留置権のように第三者の所有でもいいわけではない)する物または有価証券(たとえば、株券)を留置することができる(商521条)。 <商人間の留置権(狭義の商事留置権)のポイント>① 被担保債権は当事者双方のために商行為である行為によって生じたこと。② 個別的牽連関係が不要←留置物の範囲を拡大→商人間において個別に担保権を設定・変更することは煩雑であり、商取引の迅速性にそぐわないから。 ※被担保債権と留置物との関係→商行為によって自己の占有に属した物または有価証券③ 留置物→債務者の所有する物または有価証券(債務者に所有権があることが必要)←留置物の範囲を縮小 <広義の商事留置権> 商法上、代理商(商31条)、問屋(商557条)、運送取扱人(商562条)、運送人(商589条)等の特別の留置権がある。→これらは、商人間の留置権(狭義の商事留置権)と合わせて、広義の商事留置権という。 代理商の留置権(商31条) 代理商は、取引の代理または媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、商人のために当該代理商が占有する物または有価証券を留置することができる。 被担保債権と留置物との個別的牽連関係が不要 被担保債権は本人のために取引の代理または媒介によって生じたことが必要 留置物については、特に要件なし。 問屋の留置権(代理商の留置権に関する商31条を準用、商557条) 運送取扱人の留置権(商562条) 運送取扱人は、運送品に関して受け取るべき報酬、付随の費用および運送賃その他の立替金についてのみ、その弁済を受けるまで、その運送品を留置できる。 運送人の留置権(商574条、741条2項) 運送人は、運送品に関して受け取るべき運送賃、付随の費用および立替金について運送品を留置することができる。 留置権の効果 民法上の留置権→留置権者は債権の弁済を受けるまで目的物を留置し(民295条1項)、これにより生ずる果実を取得し、優先的に弁済に充てることはできるが(民297条)、目的物を売却して、その代金から優先的に弁済を受けることはできない。 商事留置権→破産法(破66条1項)、会社更生法(会更2条10項)で特別に効力が強化 →破産手続開始決定後 民事留置権→効力を失う(破66条3項)商事留置権→破産手続の開始決定により、特別の先取特権とみなされる(破66条1項)。留置的効力も喪失せず、債権の弁済を受けるまで管財人からの返還請求を拒絶できる(最判平10・7・14民集52・5・1261)別除権(破産手続によることなく債権の弁済を受ける権利)として(破65条2項)、破産手続によらずに先取特権を行使できる(同条1項)。会社更生手続においては、更生担保権とされる(会更2条10項) 寄託を受けた商人の責任民事寄託→寄託契約における無報酬の受寄者→寄託物の保管について →「自己の財産に対するのと同一の注意」を払うべき義務を負う(民659条)では、民事寄託でも、有償の場合は?→民法の一般規定による民400条 債権の目的が特定物(寄託契約により保管中の物も特定物)の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。善管注意義務 商事寄託→商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合→たとえ無報酬であっても→寄託物の保管について→善管注意義務を負う(商595条)←商人の信用を高める趣旨第十一節 寄託(民事寄託)第六百五十七条 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)第六百五十七条の二 寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。2 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。3 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。(寄託物の使用及び第三者による保管)第六百五十八条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。2 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。3 再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。(無報酬の受寄者の注意義務)第六百五十九条 無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。(受寄者の通知義務等)第六百六十条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。2 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。3 受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。(寄託者による損害賠償)第六百六十一条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。(寄託者による返還請求等)第六百六十二条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。2 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。(寄託物の返還の時期)第六百六十三条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。2 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。(寄託物の返還の場所)第六百六十四条 寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)第六百六十四条の二 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。(委任の規定の準用)第六百六十五条 第六百四十六条から第六百四十八条まで、第六百四十九条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、寄託について準用する。(混合寄託)第六百六十五条の二 複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。2 前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。3 前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。(消費寄託)第六百六十六条 受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。2 第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。3 第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門19(議院内閣制、行政と法)>ラジオ収録20201031講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)jialin(大学院博士課程)議院内閣制、行政と法 議院内閣制 →議会(立法府)と内閣(行政府)の分立を前提として、 議会の信任を内閣の存立の必要条件とする仕組み イギリスで発展してきた立法府と行政府の関係のあり方の一つ アメリカの大統領制との比較 大統領制→国民が立法権を担う議会とは別個に行政権の主体たる大統領を選出する仕組み 共通点 権力分立の仕組みを採用している点 相違点 任期 議院内閣制→一定でない(衆議院の解散があるから) 大統領制→一定 独任制 議院内閣制→合議制、大統領制→独任制 分立・協調 議院内閣制→協調重視、大統領制→立法府と行政府の厳格な分立 議院内閣制の本質 ①立法府と行政府とが一応分立していること ②内閣が議会に対して連帯責任を負っていること ③内閣が議会の解散権を有すること 日本国憲法における議院内閣制の表れ 内閣の国会に対する連帯責任(憲66条3項) 国会による内閣総理大臣の国会議員の中からの議決による指名(憲67条)(任命は天皇→憲6条1項)。 内閣総理大臣および過半数の国務大臣を国会議員の中からの選出(憲67条1項、68条1項ただし書) 衆議院による内閣不信任決議(憲69条) 衆議院の解散 →国会と内閣との間に生じた政治的対立を調整し、政治に安定をもたらし、民意を国政に的確に反映させる(選挙により民意を問う)機能 解散権 天皇→国事行為としての解散(憲7条3号)→天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない(憲4条1項)。→天皇には政治判断を行う実質的権限はない。 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない(憲69条)。→内閣総理大臣が判断→内閣不信任案可決または信任案否決され、総辞職をしないときだけ解散が認められるのか?→否→憲法7条3号の解釈から、実質的な解散権は内閣(総理大臣)に一般的に認められる。→学説には、だからといって無限定ではないとの意見あり。→果たしてそうか? 解散したら? 衆議院の解散→任期満了前に議員の地位を喪失→選挙を通じて国民に信を問う→「国会議員、選挙に落ちればただの人。」 行政と法 行政処分 「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」(最判昭39・10・29民集18・8・1809) →①公権力であること(権力性) ②国民の権利義務を変動させること(法効果性) ③特定人の権利義務を直接具体的に決定すること(直接具体性) 行政処分の具体例 法の支配 行政は相手方である国民の意思いかんを問わずその権利や自由を制限できるから、これを行政の好き勝手に任せるわけには行かない→法の制約に服させる必要→法の支配(Rule of Law)・法治主義 ①行政活動はすべからく、憲法・法律・政省令・条例などすべての法に違反してはならない→法の優越 ②国民の権利を侵害する行政活動は法に違反しないだけでなく、国会制定法たる法律の具体的な根拠が必要→法律の留保 ③公正な行政、透明な行政、公衆参加を確保する観点から→行政手続法 ④違法な行政活動が行われた場合、裁判所が違法性を審判、国民の権利利益を救済→司法審査→行政事件訴訟法、国家賠償法
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法19 (取締役会・代表取締役)>ラジオ収録20201031講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)<取締役会・代表取締役> 取締役会 Board of Directors会社327条 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。一 公開会社二 監査役会設置会社三 監査等委員会設置会社四 指名委員会等設置会社取締役会設置会社(会社362条)取締役会の権限(会社362条2項)「取締役会は次に掲げる職務を行う」① 業務執行の決定→重要な業務執行の決定(取締役会の専決事項) ※日常業務の決定は代表取締役に委ねることは可② 取締役の職務の執行の監督(会社362条2項2号) ※監査役もダブルチェック→二重監督体制③ 代表取締役の選定・解職 ←取締役の中から取締役会で選定 ※取締役等の役員の場合、株主総会で選任・解任取締役会の専決事項(会社362条4項)→取締役(代表取締役・業務執行取締役等)に決定を委任できない。←重要な決議事項は一部の取締役による判断ミス、権限濫用によって会社が害される場合があるため、取締役会という会議体で慎重に熟慮検討される必要があるから→取締役会の専決事項としている。 ※ 代表取締役は日常業務の決定は可。 ① 重要な財産の処分・譲受け 処分→売却、贈与、廃棄 譲受け→購入、贈与を受けること 「重要な財産」→財産の処分が重要かどうかの判断基準→財産の価額、総資産に占める割合、保有目的、処分の態様、従来の取扱い等を総合的に勘案して判断する(最判平6・1・20民集48・1・1)② 多額の借財(借金)③ 支配人その他の重要な使用人の選任・解任 ※支配人とは営業に関する一切の裁判上または裁判外の包括的な商業代理権を有する商業使用人④ 支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止⑤ 社債の発行その他の法務省令で定める事項 ※単なる借金ではなく有価証券を発行→社債権者の集団的取扱いが必要⑥ 内部統制の整備 (経営の監視機構、法令・定款違反等の不祥事を未然に防いだり、不祥事が発覚したとしても、損害を最小限に食い止めるための組織の仕組み→裁判所→コンプライアンス体制 to comply 従う、遵守する→法令遵守⑦ 定款の定めに基づく役員等の責任の免除 その他取締役会の決定事項→株主総会の招集の決定(会社298条1項・4項)、取締役の競業取引・利益相反取引の承認(会社356条1項、365条)等の運営事項職務の執行の監督→「職務の執行」→取締役会による監督の対象が取締役の業務の執行だけでなく、会社組織の運営に関する職務に及ぶ取締役会の開催 代表取締役・業務執行取締役→3ヶ月に1回以上→取締役会に自己の職務の執行の状況の報告(会社363条2項) 招集権限→各取締役、定款または取締役会決議で決めた場合、その者が招集権者(会社366条1項)→一般的に代表取締役が招集権者→招集権者以外の取締役→招集権者に議題を示して取締役会の招集を請求し、請求日から2週間以内の日を取締役会の日とする招集通知が5日以内に発せられないとき→自ら招集可(同条2項・3項) 招集通知→会日から1週間前(定款で引下げ可)までに通知を発する(会社368条1項)→全員の同意があれば招集手続の省略可(同条2項) 開催場所→制限なし→インターネット会議でも可 取締役会の書面決議→定款に定めれば書面で行うことも可(会社370条) 取締役会議事録→本店に10年間備置き→監査役等が置かれている会社→株主・債権者は裁判所の許可がなければ閲覧不可←営業の秘密の情報漏洩防止のため取締役会の決議要件→過半数が出席し、出席者の過半数(一人1票=頭数主義)で可決(会社369条1項) 利害関係取締役→決議によって利益または不利益を受ける立場にある取締役→議決に加われない(同条2項)→そもそも、議事参加も不可←なぜ?当該取締役が出席することで他の取締役が影響を受けないとも限らないから。 代表取締役解職対象者は特別利害関係人に当たるか? 当たる(最判昭44・3・28民集23・3・28) 当たらないとする学説→利害対立は取締役相互間にあるのであり、会社と取締役の利害が対立するわけではないから。 取締役会決議の瑕疵(決議がそもそもなされなかった・決議はあったが、招集手続、決議の方法、決議の内容等に、法令・定款違反があった)→会社法に特別の規定なし→一般法である民法の一般原則として決議無効(公序良俗違反は無効、民90条) 対内的な業務執行の決定(相手方がいない場合)→絶対無効 対外的な業務執行の決定(相手方がいる場合)→取引の安全→相対無効 特別取締役による取締役会決議 特別取締役→取締役の数が6名以上、社外取締役が1名以上いる会社において3名以上選定された者→取締役の専決事項の一部である、重要な財産の処分・譲受け、多額の借財について決定を委ねることが可(会社373条1項)←業務決定には迅速性が求められ、取締役会をその都度、頻繁に開催することが困難。 ※ 事実上の常務会(代表取締役社長・専務取締役・常務取締役=会社の重役)を制度化したもの取締役会非設置会社における業務執行の決定・業務執行 取締役の過半数→業務執行の決定(会社348条2項)、各取締役が業務執行(同条1項) →取締役の過半数の決定により、原則として、各取締役に業務執行の決定を委任することが可 代表取締役(事実上の社長) Representative Director 取締役会設置会社の必要的機関(会社362条2項3号、3項) 権限→会社の対内的・対外的な業務執行権限(会社363条1項1号) 対内的業務執行→使用人に指示して、工場で製品を製造させる等。 対外的業務執行→商行為(商事契約) 代表権→会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限(会社349条4項) 裁判上の行為→訴えたり、訴えられたりすること 裁判外の行為→対外的な商行為、対内的な組織的行為 業務に関する一切の行為をする権限→代表取締役の行為=会社の行為 ※代表取締役の行為の効果を会社に帰属させること 代表権に加えた制限→善意の第三者に対抗できない(同条5項)。 会社の内規で代表権を制限していたとしても、会社はそれ(代表取締役の越権代理=無権代理性→会社が追認しない限り、無権代理人=当該代表取締役に効果帰属する→本人である会社に効果帰属しない→会社は無権代理の責任を負わないということ)を善意の第三者に主張できない。 取締役会非設置会社→各取締役に代表権あり(同条1項)。 内部的意思を欠く行為の効力→取締役会の専決事項、株主総会決議事項であるにもかかわらず、その決議なしに、または無効な決議に基づいて、代表取締役が業務執行したその行為の効力は? 相手方のいない行為 →取引の安全を考慮する必要なし→手続を欠く行為→原則として無効相手方のある行為←取引の安全に配慮する必要 →株主総会決議を欠く行為 判例→絶対無効説(最判昭61・9・11判時1215・125) 有力な学説→相対無効説→会社は取引相手の悪意を立証して初めて無効を主張しうる。 →取締役会決議を欠く行為 判例→取引行為は内部的意思決定を欠くにとどまるから原則として有効であり、相手方が決議を経ていないことを知りまたは知りうべかりしときに限って無効(最判昭40・9・22民集19・6・1656、最判平21・4・17民集63・4・535) →法律構成→民法93条ただし書(心裡留保) →取引の相手方に調査義務を課すことになるのは妥当でないとの批判(心裡(り)留保=しんりりゅうほ)→内心と表示が食い違っている→原則、表示どおりに効果発生民93条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。 心裡留保は原則有効、例外無効! ここでは、取締役会の決議がない(内心的効果意思) 代表取締役が自分で決定して業務執行した(表示意思) 相手方が真意でないことを知り(悪意)、知ることができたとき(善意だが知らないことに過失がある場合)→悪意・有過失の相手方は保護されない→過失があれば保護されなくなる相手方は、表意者の真意を調べる必要(調査義務)があるのではないか?それは相手方にとって酷ではないか?無効を主張できる者→重要な業務執行についての決定を取締役の決議事項としたのは、会社の利益を保護する趣旨に出たもの→取引の無効は原則として会社のみが主張できる(最判平21・4・17民集63・4・535)。 代表取締役の権限濫用 →内心の意思としては自己または第三者の利益を図る目的で、形式的には権限の範囲内にある行為をすること。 →たとえば、個人的に費消する目的で代表取締役として借入れを行うこと←このような場合にも会社が借入れを行ったことになるのか? 判例→民法93条ただし書(心裡留保)を類推適用→会社は悪意または過失のある相手方に取引の無効を主張できる(最判昭38・9・5民集17・8・909)。 表見代表取締役 →代表取締役ではないのに代表取締役らしく行動した場合、表見代表取締役としてその行為の効果を会社に帰属させる制度(会社354条) 要件→①外観の存在→代表権があると認められる名称が存在すること→社長、副社長、代表取締役、頭取、総裁などの肩書付与。 ② 会社の帰責事由→会社が取締役に名称を付したこと ③ 外観に対する信頼→相手方の善意・無重過失→登記を見なかったことは重過失なのか?→現実社会において、取引の都度、登記を確認しているか?→実際はしていない→登記を見なかったというだけで重過失には当たらないのでは?→それでも、軽過失の有無は問われる→たとえば、取引先に電話して問い合わせるなど。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの法学入門18(国会ーこの国のかたちー)>ラジオ収録20201025講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)国会(国のかたち)日本国憲法(日本の法体系における最高法規) 1946年5月3日公布 (憲法記念日) 1947年11月3日施行 (文化の日)日本国憲法の三大原理→憲法の規定の三つの柱 基本的人権の尊重 国民主権(民主主義)→国のかたち→統治機構 平和主義(侵略戦争放棄・自衛戦争までは放棄しない)→憲法9条主権とは? 国民・領土を統治する国家の統治権 他国の支配に属さない対外的最高独立性 国家政治の最終決定権基本的人権 包括的基本権平等権(法の下の平等)幸福追求権(新しい人権→嫌煙権・環境権・日照権・健康権・アクセス権・平和的生存権) 自由権(国家から放っといてもらう権利) 精神の自由 思想・良心の自由、信教の自由、学問の自由 表現の自由、集会・結社の自由、通信の秘密 人身の自由 奴隷的拘束・苦役からの自由、刑罰以外の使役の禁止法定手続の保障、公務員による拷問・残虐な刑罰の禁止裁判の公開原則、刑事被告人の権利の保障 経済の自由 居住・移転の自由、国籍離脱の自由、職業選択の自由、財産権の保障 社会権(国家に介入し、構っててもらう権利) 労働基本権・社会保障を受ける権利、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利居住の権利 参政権 選挙権・被選挙権、公務員の選定・罷免の権利 憲法改正・地方自治法特別法制定同意見等の国民投票や国民審査 国務請求・受益権 請願権、裁判を受ける権利、刑事補償請求権 国家賠償・補償請求権、直接請求権補償→他の人に与えた損害を金銭などで補うこと。保障→不安や危害がないよう責任をもって請け合う意味や、一定の条件の下、ある状態が損なわれないよう保護すること。(安全保障)保証→間違いなく大丈夫だ、確かだと請け負うこと。保証契約 平和的生存権←憲法前文「平和のうちに生存する権利」国のかたち 三権分立→三角形 三権 国会→立法(法律の制定)・予算の決定 内閣→行政(法の執行=実施・施行) 裁判所→司法(法の解釈・適用による紛争の解決・立法および行政の違憲審査)→法の番人国会 (Diet) 国権の最高機関(憲41条) 国の唯一の立法機関(憲41条)→例外→議院規則制定権(憲58条2項)、内閣の政令制定権(憲73条6号)、最高裁判所規則制定権(憲77条1 項)、地方公共団体の条例制定権(憲94条)、行政機関の制定する命令(委任立法) 全国民の代表機関(憲43条) 構成→衆議院(465人)と参議院(245人)(憲42条) 国会の権限(Power of the Diet) (1)憲法改正の発議権(憲96条1項) →各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票またはは国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 (2)内閣総理大臣の指名権(憲67条1項) →内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行う。 衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、または衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする(同条2項)。←衆議院の優越 (3)弾劾裁判所の設置権(憲64条1項) →弾劾裁判所は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する裁判所 (4)財政監督権(憲83条) →予算の議決・予備費支出の承諾その他の財政の監督 (5)条約承認権(憲73条3号) (6)法律の議決権(憲59条1項) →両院で可決→衆議院の優越→衆議院で可決され、参議院で否決されたとしても、衆議院で衆議院議員の3分の2以上の多数で再可決されれば成立(同条2項)。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<LeoNRadio日の出 われらの商行為法05(申込みに対する諾否通知義務、申込みを受けた者の物品保管義務、債務の履行場所・時間、債権の消滅時効)>ラジオ収録 20201025講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)申込みに対する諾否通知義務、申込みを受けた者の物品保管義務、債務の履行場所・時間、債権の消滅時効 申込みに対する諾否通知義務(少なくとも一方が商人の場合)契約は申込みに対して、承諾しない限り、成立することはない。たとえ、「返事がなければ承諾したものとみなす」といった予告付きの申込みを受けたとしても同様。 商509条1項→商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく諾否の通知をしなければならない(諾否通知義務)。商509条2項→諾否通知を怠った場合、申込みの承諾が擬制される。 →承諾したものとみなされる→契約成立 →商行為の迅速性および相手方の継続的取引関係のある商人への信頼の保護 「平常取引をする者」→すでに取引関係にあり、今後もその継続が予想される関係にある者→申込者は商人とは限らない。※米屋がある農家から米を毎年購入しているような関係。「営業の部類に属する取引」→商人の基本的商行為に限られるか、附属的商行為も含まれるかについては争いあり。 送付物保管義務(少なくとも一方が商人の場合)商510条本文→商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合に、申込みと同時に受領した物品がある時は、その申込みを拒絶したときでも、その物品を保管する義務を負う。保管費用は誰が負担するのか?→「申込者の費用を持って」→物品を送付した申込者の負担→たとえば、どんな費用がかかるのか?→たとえば、大量の生鮮食料品の場合、営業所の冷蔵庫に入らない場合→別の倉庫業者に依頼→費用発生→申込者が費用を後に支払わない可能性あり→当該送付物品を売却して、そこから費用を捻出→当該物品の売却では当該費用を賄えない場合?→ただし書を参照。 →商取引においては、申込み者が相手方の承諾を予想して、申込みと同時に物品の全部または一部(サンプル等)を送付することも少なくない→これを保管させること→商取引の迅速性、円滑性、物品を送付した申込み者の商人に対する信頼の保護。→民法→申込みとともに物品が送付された場合→申込みを拒絶したときであっても、送付物保管義務の規定はない。 もっとも、商510条ただし書→物品の価格が費用を償うのに足らないとき、保管することにより商人に損害が生じる場合には保管義務なし。 物品を送付した申込み者は商人でなくてもよい送付物品とともに申込みを受け、保管義務を負う者は商人に限られる。 債務の履行場所債務→売買契約なら→売主の債務:物品の引渡義務、買主の債務:代金支払義務債務の履行=弁済民法上の債務の履行場所 民484条1項→特定物(他の物で代替できない物)の引渡し→債権発生時、その物が存在した場所で。 →その他の弁済(引渡しだったら不特定物、引渡し以外の債務、たとえば、代金支払債務もある)→債権者の住所で。 ※ 売買だったらこの債権者は売主 債権者の住所で弁済ということなら、買主が売主の住所で代金を支払う。 →持参債務(民商共通) ※ 債権発生時→たとえば、契約の成立時が普通であろうが、場合によって、契約から一定の条件が満たされた場合に、または一定期間経過後に債権・債務が発生する場合がある。 法律行為(契約)と債権発生にズレが生じる場合あり。 いったい、どんな場合? →停止条件付契約→契約に基づく債権、債務が一定の条件を満たして初めて発生する契約 たとえば、停止条件付贈与契約「あなたが大学に合格したら、自動車を買ってあげるね。」 →始期付契約→契約に基づく債権、債務の発生を先延ばし(先日付)にする契約商法上の債務の履行場所 商516条→商行為によって生じた債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは、特定物の引渡しはその行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)において、それぞれしなければならない。 「その行為の時に」→法律行為→そのほとんどは契約→商事契約(商行為)時 その他の債務の履行→たとえば、代金弁済→債権者の営業所(住所)→持参債務(民商共通)<特定物の引渡し> 商516条→商行為によって生じた債務における特定物の引渡しの場所は、法律行為時その特定物が存在していた場所で行う。 民484条1項→債権発生当時、その特定物が存在していた場所 ※行為時(法律行為時)と債権発生時の違いは? 停止条件債務・始期付債務の場合には行為時と債権発生時がずれる場合がある点 <その他の債務> 商516 条→債権者の現在の営業所(営業所がない場合はその住所)(持参債務) 民484条1項→債権者の現住所(持参債務) ※代金の支払場所→商516条、民484条1項→持参債務が原則→目的物の引渡しは買主の営業所または現住所、代金の支払は売主の営業所または現住所→目的物の引渡しと代金支払が同時履行の場合→民574条→売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない。持参債務→代金債務の場合→債務者が債権者のところに出向いて支払う <無記名債権(債権者が特定されておらず流通する可能性のある、たとえば、回数券)、指図債権(裏書によって債権者が目まぐるしく入れ替わる、たとえば、手形)の弁済→債務者にとって誰が債権者がわからない→民法に規定されたことから、商法当該規定削除> 債務者の現時の営業所、営業所がないときはその住所(取立債務)→無記名債権、指図債権は転々流通するから債務者は弁済時に誰が債務者かわからないため。→民520条の8・18・20取立債務→代金を債権者が債務者のところに出向いて支払う 債務の履行の時間または履行請求の時間 商520条→削除 法令または慣習により商人の取引時間の定めがある時は、その取引時間に限り、債務の履行をし、またはその履行の請求をすることができる。 →しかし、これは商行為に限らず、幅広く民事取引一般にも妥当する →改民484条2項→追加 債権の消滅時効旧商522 条→削除商行為によって生じた債権の消滅時効は原則として5年2017年改正前民法167条 債権一般の消滅時効→原則として10年 改民166条1項→債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年で消滅 二元的時効→知った時→主観的起算点 権利を行使することができる時→客観的起算点以後、民商共通化
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨<われらの会社法18 (取締役)>ラジオ収録20201025講師 楠元純一郎(法学者)録音師 レオー(美術家)ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)<<取締役>>取締役会非設置会社の取締役→機関→業務決定権・業務執行権・代表権取締役会設置会社の取締役→単なる取締役は機関ではない→取締役には業務決定権、業務執行権・代表権はない。 →この場合、業務決定権は取締役会および代表取締役にあり、業務執行権は代表取締役、業務執行取締役にある。Director(英) 董事(中国)株式会社なら最低でも1人は置かなければならない機関であり、役員。会社の経営・管理 management 経営陣 management team 社長(President) ←法律用語ではない 会社経営とはなにか?→業務決定business decision・業務執行business executionto execute 執行する→実行する 会社の仕組みと国家の統治機構はちょっと似ている!? 株主総会→定款の作成・変更・決算の承認→立法(国会)→法を作ること取締役→業務決定・業務執行→行政(内閣)→規則・命令制定・法を執行すること→法の実施(施行)監査役→職務の執行、業務執行の監査→司法(裁判所)→法を解釈・適用して紛争を解決し、また、違憲審査をすること。違憲審査→国会で制定された法律、行政による法の執行についてそれが憲法に違反していないかチェックすること。監査役は取締役の行為が法令・定款に違反していないかどうかをチェック。 取締役の資格・員数 取締役の選任→株主総会の普通決議(会社329条1項)→要件→①定足数→議決権の過半数を有する株主が出席すること(会議が有効に成立するための要件)、②決議要件→出席した株主の議決権の過半数で可決取締役に資格は必要か? ちなみに、資格の王様は?一般には?医師国家試験(医師免許)と司法試験に合格すれば、法曹三者になれる。弁護士になれば→弁理士・裁判官(判事)・検察官(検事)・税理士・社会保険労務士・行政書士・海事補佐人の資格も付与される。なお、司法書士資格は得られないが、登記業務も可能)。 取締役になるのに資格は必要ない→しかし、欠格事由はある。 取締役の欠格事由(会社331条1項) →①法人(自然人じゃないといけない) →②成年被後見人(精神障害により事理弁識能力を欠く常況)・被保佐人(精神障害により事理弁識能力が著しく不十分) →じゃ、子供は?→未成年者は法律では制限されてはいないが、実務上、取締役の就任登記をする際に、実印登録が必要な場合があるが、15才未満は実印登録できない。取締役会設置会社の場合、実印登録が不要なため、意思能力ある10歳程度以上であるならば、取締役になれるが、取締役会非設置会社の場合、実印登録が必要なため、15歳未満の場合は取締役になれない。 →③会社法・一般法人法・金融商品取引法・破産法等の一定の罪を犯し、処罰されてから2年を経過しない者 →④③以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者 破産者の場合は?→取締役の欠格事由ではない。←再チャレンジのチャンスを妨げられない。 定款で取締役の資格を株主に限定することはできるか? →公開会社においては定款で取締役を株主に限定することはできない(会社331条2項)←いい人材を幅広く集めるため(人材確保の要請)。 定款で取締役の資格を日本国籍を有する者に限定することはできるか? →「私的自治の範囲内であり公序良俗に反しない」(名古屋地判昭46・4・30下民22・3-4・549) 取締役の員数 取締役会設置会社→3名以上(会社331条5項) 取締役会非設置会社→1名以上(326条1項) 従業員(使用人)は取締役になれるか?→なれる →たとえば、取締役営業部長→使用人兼務取締役 社外取締役→委員会型の会社(指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社)における、委員会の過半数につき設置強制 →上場会社等の有価証券報告書提出会社(公開会社かつ大会社に限る)→最低1人以上、設置強制(会社327条の2) 社外取締役の要件→過去10年間、会社または子会社の業務執行に携わった業務執行取締役・執行役・使用人(業務執行取締役等)でなかった者 →独立性→個人である支配株主または親会社の取締役・監査役・執行役・使用人でない者 →兄弟会社の業務執行取締役・執行役・使用人でないこと→取締役・支配人その他の重要な使用人または親会社 等のそれらの配偶者または二親等以内の親族 (本人の両親・祖父母・兄弟姉妹・子・孫・配偶者 の両親・祖父母・兄弟姉妹)でないこと ※重要な取引先の関係者は社外取締役になれる。 社外取締役に期待されていること・その機能 業務執行の指揮下にないこと→代表取締役の影響を受けにくい→大所高所から中立の立場で意見を述べることができ、代表取締役等、業務執行取締役を監督→業務執行の適法性・効率性・妥当性 特に活躍が期待される場面→MBO、親子会社間取引 MBO(Management Buy Out)→経営者による会社買収(乗っ取り)→少数派株主の利益侵害のおそれ 親子間取引→親会社(支配株主)が子会社を犠牲にするような取引を強制する。子会社の取締役の過半数は親会社(支配株主)の影響下にある→親会社と子会社が取引をする際に、親会社は取引の両側に立つ。→こちらを立てればあちらが立たず。双方代理または自己取引。→結局、子会社の少数派株主が損害を受ける構造。→構造的利益相反 親会社←取引→子会社 (子会社の経営陣は親会社が選んだ) 構造的利益相反→不公正取引の温床 社外取締役の目のつけどころ→当該取引が企業価値の向上に繋がるのか?、少数派株主の利益を不当に害するものではないか(対価が公正であるか) 社外取締役→取引保護装置の一つ、その他、特別委員会(第三者委員会)、専門家の意見を参考にしたかどうか。 累積投票制度→少数派株主が少数の取締役を選任できるようにする制度→たとえば、8名の取締役選任議題に10名の候補者がいるとする。→1議決権につき(8)票。株主は8候補者に1票ずつ投票してもよく、また、1候補者に(8)票投票してもよい。→支配株主にとってはおもしろくない→累積投票制度は定款で排除可(会社342条1項)。 取締役の任期 公開会社→原則2年で再任は可。 非公開会社→定款で10年まで伸長可。→2年毎に再任したとしても、手続上、いったんは退任しまた就任→2年毎に変更登記→登記料の無駄 監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社→1年 取締役の終任、辞任、解任 終任→任期満了、委任の終了事由(民653) 辞任→取締役はいつでも辞任できる(民651条 1項)→会社に不利な時期に辞任すれば会社に対し損害賠償責任を負う。 解任→株主総会の普通決議でいつでも取締役を解任できる(会社339条1項)→ただし、正当な理由なく解任した場合→取締役は会社に損害賠償を請求できる(会社339条2項) 取締役解任の訴え→取締役の職務遂行に関し、不正行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、株主総会で当該取締役の解任決議を否決したとき(または、決議が行われなかった場合も含む)→6ヶ月以上前から、議決権の3%以上または発行済株式数の3%以上を有する株主→取締役解任の訴え(会社854条1項)。 取締役の員数を欠く場合→就任または辞任した取締役→新たに選任された取締役が就任するまで、なお、取締役としての権利義務を有する(会社346条1項)。 一時取締役→取締役に欠員が生じた場合、利害関係人の申し立てにより裁判所に新しい取締役を選任してもらう制度(会社346条2項)。 補欠取締役→取締役の欠員に備えて、あらかじめ株主総会で選任しておく制度(会社329条3項)。 取締役の職務執行停止・職務代行者→取締役の選任決議の不存在確認の訴え、無効確認の訴え、取消しの訴えが提起された場合→当該取締役に職務を継続させることが適当でない場合→裁判所は当事者の申立てに基づき、仮処分により取締役の職務執行を停止し、職務代行者を選任できる(民保23条2項、24条)。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」作詞作曲 楠元純一郎編曲 山之内馨パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授 パーソナリティー レオー 美術家 ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者<LeoNRadio日の出 われらの法学入門17(信託ー財産を他人に管理してもらう方法)>ラジオ収録20201017信託(定義)信託法2条 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。 受託者自身の利益を図ることを除く→自益信託の禁止 よって→信託とは→特定の者(受託者)が一定の目的に従い、他者のために財産の管理・処分等をすることをいう。他者のための財産管理→管理信託信託行為→①信託契約、②遺言、③書面・電磁的記録による意思表示(公正証書)信託財産→受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産。委託者→信託をする者。受託者→信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理または処分およびその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。受託者は自己の利益を図ることは許されない。受益者→受益権を有する者。(受益の意思表示は不要) 委託者(Truster) | |(信託行為) ↓ 受託者(Trustee/Fiduciary) 受益者(beneficiary)(委託者の財産の管理・処分等)←ーーーーーーーーーーーーーー(受益権) (信託財産にかかる財産の処分・給付) 信託法はもともと英米法の系譜に属する →わが国は大陸法系→わが国への受容→「水に浮かぶ油のような存在」英米法系の国々→もっぱら家族間の財産承継の手段(Trustトラスト)わが国→資産投資の手段(投資信託) 信託の法律関係→事務処理の委託を内容とする委任契約(民643条以下)とは似て非なるもの<<第三者のためにする契約と信託の違い>> 第三者のためにする契約→当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約。たとえば、不動産の所有権がA→B→Cと移転する場合に、AB間の不動産移転登記を中間省略する等するために、AとBとの契約ではあるが、所有権をAからCに移転させるもの。第三者の権利→その者が受益の意思表示をしたときに生じる。民537条1 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存在しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。3 第1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。<<委任契約と信託の違い(財産管理委任契約と家族信託)>> <財産管理の委任契約>→委任者である本人に判断能力があることを前提とした制度。委任者が受任者を監督し、不正が起これば解任。→委任者が認知症になれば意思確認ができない。 父親A(委任者)所有権 (受益者) ↑ ↑委任契約(法律行為の委託)(民643条) ↓ ※法律行為→意思を要素として一定の法律効果を発生させる行為。 ↓ 法律行為の中心は契約資産運用者B (受任者) ーーーーーーーーーー→Aの息子C(第三者)(受益者) 委任者の指示で運用 (運用益・財産の処分) いつでも辞任可能→民651条(委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。) ※受任者は委任者に対して、善管注意義務を負う。第三者の権利の発生に受益の意思表示は必要なし。 <家族信託> 父親A(委託者) ↑信託契約 ↓資産運用者B (受託者)---------------------------------→ Aの息子C(第三者)(受益者) 形式上の所有権は受託者に帰属 受託者の判断で運用(委託者はいちいち指示しない) 任意の辞任不可 受託者名義に移転された信託財産←受託者が有する他の財産(受託者の固有の財産または他の信託財産)との間で分別管理→受託者個人に対する債権者といえども、信託財産に強制執行できない(信託23条)。受託者において、破産・民事再生・会社更生が開始しても、その影響を免れる(信託25条)。 <<成年後見と家族信託の違い>> <成年後見> 成年被後見人→精神障害により事理弁識能力を欠く常況→日用品の買い物以外、なんらの法律行為もできない。したとしても、取り消される。任意後見制度→本人が十分な判断能力のあるうちに、将来、認知症等になって判断能力が低下する場合に備え、あらかじめ自分の選んだ代理人に自分の生活、療養看護、財産管理に関して代理権を与えておく。有効期間:後見開始から本人の死亡まで権限:財産の処分のみ→財産は本人のためだけに使える。財産の運用・生前贈与は不可。本人による契約:取消可能認知症発症後の相続:継続不可 <家族信託>有効期間:開始も終了も自由設定権限:受託者の権限の範囲内で財産の運用、処分が可能。認知症発症後の相続:継続可能