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<p>【本シリーズを監修した原大介先生からのコメント】</p><p>20:05 「『口話』を重視」、「話している人の口の動きを読んで音声言語でコミュニケーションを目指す」について</p><p>「口話」は、相手が話していることを理解するために口の動きを「読む」だけでなく、聴者に言いたいことを伝えるために自分には聞こえない音を発声して音声として意思を伝達することも含まれます。</p><p><br></p><p>20:37 「そういう方針はいまだに変わっていない」について</p><p>「音声言語を教えるべき」という方針は、現在のろう学校(正式には「特別支援学校」)でも大きくは変わっていないのは事実ですが、ろう学校で使用するコミュニケーション手段に関しては、近年、文科省の態度が変わってきています。かつては、ろう教育において手話の使用を事実上禁止していました(1933年、当時の鳩山文部大臣による発言)が、2000年ごろを境に手話の使用も容認し始めました。ただ、これは、児童・生徒の聴力の状態に応じて「音声日本語」以外のコミュニケーション手段も適切に活用してもよいということであり、手話のみで各教科(算数、数学、理科、社会等)の教育を行ってもよいという意味でありません。</p><p><br></p><p>20:55 「日本語対応手話」「手指日本語」について</p><p>一般的には水野さんがおっしゃっている内容で問題はないと思います。細かいことを言えば、「日本語対応手話」や「手指日本語」を「手で表された日本語」と考えていない研究者もいます(私もそうです)。簡単に言えば、日本語に100%対応させて手話を表すことは原理的に不可能であり、そのため日本語を手指で完璧に表すことはできません。つまり「日本語対応手話」や「手指日本語」は理想的な概念に近く、厳密には実在しないと私は考えています。日本語を手指で表そうとする時点で零れ落ちる日本語的特徴(アクセント、リズム、イントネーション、格助詞、終助詞等)がありますし、(不完全であっても)手指で表した日本語には、日本手話的特徴(リズム、イントネーション、非手指動作、マウスジェスチャー、日本手話の語順、動詞の屈折、空間利用等)が部分的に表されることも多く、その結果、日本語とも日本手話とも明確に分類できない、両者の特徴を部分的に含みつつも、それ自体として...